2024.05.15
20240515
私は自他共に認めるジブリファン。宮崎駿ファン。そんな私がこれまでで3回しか観ていない作品がございます。それが、『風立ちぬ』でございました。
劇場で2回。Blu-ray で1回。どうにも作品の中に入っていけなかった理由は割とはっきりしていまして、主人公・堀越二郎の声優を演じた庵野秀明がどうがんばっても耳に馴染まなかったせいであります。
そんな折。毎度おなじみ(?)、我が家のディナータイムシアターにおきまして、息子が「おれ、風立ちぬだけまだ観てないから、観よーぜ」と言うので、正直なところあまり気乗りはしなかったものの観ることにしました。劇場公開が2013年。Blu-ray ディスクの発売が2014年6月だったようですから、ほぼ10年ぶりの鑑賞ということになります。
で。これが、とてもとても良かった。私はこれまでいったい何を観ていたのだろう、とガックリ反省をするくらい。あんなに気になっていた庵野秀明の声優も決して悪くないし、むしろ「これは庵野じゃないと出せない味!」と思うところさえある。何よりほとんど執念にも思える作画、美術が本当にすばらしい。「宮崎作品のなかで一番若い感性でつくってない?」とは息子談ですが、たしかに彼がそんなふうに思ったのも深くうなずけます。
10年という時間がこの作品を観るために必要だった私の中の何かを底上げしてくれたのか。現在の時代背景が作品の時代背景とどこか呼応するようになってしまったことで理解しやすくなっているのか。はたまた、『君たちはどう生きるのか』というかなりの実験作を体験したことで観やすくなったのか。はっきりとした理由はわかりませんけれども、私の中でずっと鬼門だった『風立ちぬ』が10年の時を経て大好きな作品に変わったことは、とってもうれしい出来事でございました。
過去に、それこそ10年くらい、もっと前になるのかしら。成瀬文子さんと結婚をしたばかりの頃、当時ひさしぶりに観た高畑勲作品『おもひでぽろぽろ』がそれまでの理解をひょいひょいっと超えて心の身体にブッ刺さった経験をしましたが、あの日の一日をこれまたひさしぶりに思い出した次第です。
映画に限らず、音楽も絵画も小説も、芸術作品というのは、こういうことがあるから、これまた面白い。長生きはしてみるもんですなぁ。
あ、生きるといえば。これはどこかで書いたことがあるような気もしますが、私が天寿をまっとうした際、タイミングよく何か一言を言い残せるとしたら。今のところ、「私の人生、眠かった」になるだろうと思われます。
はい、みなさんご一緒に。せーの。「しょーもない人生🫴 ©︎粗品」。
ただですよ、そんな眠い眠い人生&体質は今に始まったことではない私のデフォルトであると思っていましたが、ここのところ「なんでおれはこんなに眠いんだ?」と、その強烈な眠気を少々疑問に思っている次第。春のせいにしてみたり、太陽フレアのせいにしてみたり、庵野秀明のせいにしてみたり、色んな原因を探っていますが、日中の仕事場をアトリエに移して一週間。それまで抜くことの多かったお昼ご飯を必ず食べるようになったのはひとつ大きな要因かしら、と思っています。もしかすると、炭水化物とりすぎじゃね? 糖質コントロールというやつが必要なんじゃね? と。
というわけで。「私はこれからのお昼ご飯を、無調整豆乳とプロテインでやり過ごしてみることにします🫡」という謎の、要らぬ宣言をして本日は筆を置きたいと思います。なんか良さそうな気がしない? しないか? レディースアパレルの代表なのにムキムキになったらなんかすみません💪。
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です