私は猫アレルギー。年明けから定期的に病院へ通っている。けれど、今。私は猫2匹と同じ部屋で寝ているのです。

　といいますのも。ここ最近、特にジロー（兄貴のほう）は、朝の5時頃になると引き戸になっている寝室の扉を（鍵がかかっているのにも関わらず）カリカリと音を立てて開けようと必死になっていた。扉は木でできているから傷がついてこのままボロボロになっていくのもなんだかセコいが正直嫌だし、何より朝が苦手で睡眠中にもう一人の別人格が完全降臨している私こと “ワタクシ” は睡眠を邪魔されるのが何より嫌らしい。そんなゴクドーな “ワタクシ” は「おんどれ、まだ5時じゃい！」と烈火の如く扉を開けてジロー達をその場から立ち退かせることになる。けれども「そんなのカンケーねーニャ！」と5分も経たぬうちに再びカリカリを試み始めるジローに対して、やがて「どうしたジロや」と韓流ドラマ風味の謎キャラクターをまとった寝ぼけ眼の成瀬文子さんが仕方なく起きることになっていた。

　聞けば、私たちを起こしている理由はどうやらご飯でもトイレでもなく、特にジローはただただ甘えたい様子なのだそうだ。確かにここ数日の猫たちを見ていると、時折見せる暴れっぷりからもどこか欲求不満でイライラしている感じがチラホラと見え隠れしていた。我が家は成瀬文子さんも息子も、たぶん私も、この子たちを相当可愛がっていると同時に相当好かれているとも思うのだけれど、身体はすっかり大きくなったとはいえ、考えてみればまだまだ生まれて半年ほどの仔猫ちゃんたちだ。朝も昼も夜も、そして夜中も。少なくともこの家に誰かがいる時間であればその誰かに四六時中もっともっと思いきり甘えたかったのかもしれない。そんな愛情不足の原因が猫2匹だけになる夜中に原因があるとするならいっしょに寝てあげるしか愛情を満たしてあげる方法はない。

　ただ、私は猫アレルギー。寝室をはじめ私の仕事部屋にはこれまでも極力入ることがないように日中も必ず扉を閉めるなどして気をつけていたのだけれど、ここは一念発起。「寝室の開放じゃ！」を決行することにした。もちろん、私は猫アレルギー。おそらく私の枕で猫たちも寝ようものならアレルギーが発症してしまうだろう。それでも一念発起できたのは、ジロー＆サンコの好き好きランキングBEST3 によると、圧倒的1位が成瀬文子さん、続いて息子。最後が、私。という明らかな結果があったからで、つまりは寝室を開放をしたとしても、いっしょに寝る、猫たちがベッドに向かうのは成瀬文子さんのベッドであろうという予測が立ったからだ。

　そんなわけで、今。私は猫2匹と同じ部屋で寝ているのです。

　結果、猫たちは大変おだやかな、まだ家族になってまもない私が知っているジロー＆サンコになっている。気がする。ついでに、私もアレルギーが悪化しているようなこともない。それが最適解とは思えないけれど、できる限り自由な方がいい。やっぱりルールをつくるとどこかに歪みが生まれる。気がする。

　しかしながら。2匹もいて、こんなにも見事に私のベッドにはこないもんかね。それはそれで、なんとなく、複雑な気持ちになったりもするのでありました。

◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です