2024.02.13
20240213
あと何年かすれば、AI に仕事が奪われるだとかなんとか。そういったことが言われて久しい今日この頃。昨年は、ChatGPT の進化も随分と話題になりましたが、私、そういっ た 生成AI というものを試してみたことはありませんでした。
一方、『Suno AI』というこれまたここのところ話題の AIサービス があります。これが何かと申しますと、適当なテキスト(歌詞)を入力し、必要に応じてジャンルなども指定すれば、あっという間に音楽を生成してくれるという無料の AIサービス のことです。
私、音楽は好きなもんですから、この Suno はずっと気になっていて、先週末、仕事の合間にふと「やってみるか」と思い立ち、試してみることにしました。
やり方はとっても簡単。Gmailアカウント などを使用して Suno のサイトにログイン、あとは適当な歌詞を打ち込むだけ。その他、細かい設定をしたい場合は、ネットで調べればすぐに出てきますし、遊ぶ程度であれば細かいといっても何ら難しいことはありません。
そこで私は、歌詞にオフィシャルサイトに掲載している atelier naruse の紹介(About)テキストを打ち込んで、いわゆるサビに当たる場所を指定、ジャンルは「JAZZ」だの「ROCK」だのいくつか適当に試したのですけれど、まぁ、すごかったです。ほんとうにものの1分程度で何かしらの楽曲ができあがってしまいます。
無料サービスですので1日につくることができる楽曲は10曲程度、制作してくれる楽曲の長さも90秒までに限られてはいるのですが、月に1,000円くらい課金すれば、その限度の幅も広がり(制限がなくなるのかしら?)、課金内容によってはできあがった楽曲を商用利用することもできるようです。
で。肝心の出来は?
これは正直なところ、「こんなのだったらワシでも作れるわい」というようなクオリティーのものがほとんどでしたが、なかには「おー。ちょっとおもろい」というものも出来ました。それでもツッコミどころはありますが、これが一連の作業だけで出来上がってくるのは本当におもしろいし、ほんの数十分遊んだだけで「ちょっとおもろい」と感じるものが出来上がってきたということは、打ち込む歌詞を変えたり、ジャンルの設定を細かくしていくなど、試行錯誤をすれば、それなりの楽曲が現時点でもできそうな気配があります。
ただ、現在のバージョンだけで判断をするなら「もういいかな」というのも正直なところ。先にも書きましたとおり、あれこれと設定して仮に「オーッ」というような楽曲ができたとしても「これ、AI がつくったのか」と思うと一気に冷めてしまう何かがあるのです。たとえば、まったく同じ楽曲を AI と人間がそれぞれつくったとして、やっぱり人間がつくっている方に私は感動なり何かしらの感情が芽生えるのだろうな、というところが個人的な感想でした。
それでも、こうした「AIと人間の違いとは」みたいなところに件のような感想を持つのは、今だけの限定的なものだとも思います。もうしばらくすれば、こうした 生成AI の技術をうまく取り入れつつ、最終的には人間がまとめて仕上げる、という時代が本格的にやってくるでしょうし、その折衷案におけるセンスこそが人間に求められる才能のひとつになるのかもしれません。そして、そのうちに「AIと人間は別のもの」として、それが AI が完全につくった音楽であっても、それが良いものであれば自然と受け入れる、ともすれば感動もする時代がそう遠くない未来にやってくるはずです。
かといって、少なくとも私が生きている時代に、特にエンタメ界、アート界において人間がまったくクリエイトしなくなることはないと思いますが、そもそも私は、「そんなもん、オリンピックで人間とバイクが100メートル走しているのを見たとしても、なんにも面白くないから人間だけで走ってるんでしょうよ。AIと人間のことなんて、それといっしょでしょ?」というような感覚が強いので、まぁ、感覚としては諸々すでに遅れ気味なのかもしれません。
あ、そんな今回制作をしてみて「これは聞ける」という厳選4曲は、私がこっそりとやっているインスタグラム『ボクラノラジオ』で紹介しています。ご興味がありましたら、覗いてみてください。ともあれ、ちょっと、面白いですよ。もちろん、自分で適当な歌詞をつくって遊ぶのも面白くておすすめですし、技術の進歩に触れるのはとっても感動します。
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です