2024.02.05
20240205
通常。私はドラマ全般に関する情報は成瀬文子さんから輸入しておりますが、珍しく私の方から成瀬文子さんへ輸出した宮藤官九郎脚本の『不適切にもほどがある!』。
そして、私からの情報なのにも関わらずこれまた珍しくハマったらしい成瀬文子さんは、きっとそのクオリティーに興奮したのでしょう。「これは好きになるんとちゃうやろか! 宮藤官九郎デビューに良いんとちゃうやろか!」と、何を思ったのか意気揚々と思春期真っ只中の息子に同作を薦めはじめ「夕食を食べながらみんなで観よっ!」と俄然はりきっておられました。
ただ、すでにドラマを観ている方でしたら容易に推測いただけるかと思います。同作は80年代をリアルに体験した世代だからこそ楽しめる要素が多いほか、なにより下ネタも盛り沢山でございます。別に息子がその辺りに潔癖な性格というわけではありませんが、家族団欒で見るのはどうなんだい? と思いはしたものの、とりあえず面白そうでしたので私は何も言わずに時の流れに身を任せながらテレサ・テンっておりましたが、まぁ、想像どおりでございます。ドラマが始まってから数十分。見させられた思春期真っ只中の息子も、お薦めした当人でさえも、なんとも言い難い、いわゆる気まずい空気が家族団欒のテーブルの上にふんわりと流れだしたような気がし、私はカレーを食べていた手を止めて、同じ宮藤官九郎脚本の『タイガー&ドラゴン』にサッと切り替えましたよ。
ときに。みんな大好き『タイガー&ドラゴン』。ひさしぶりに観ましたが、1話の途中でさえ「はぁ、やっぱり面白いわ」と唸ったと同時に、「・・・え!? これ、2005年だったの!? もう20年も前の作品だったの?!」と今度は時の流れに度肝を抜かれました。テレサ・トゥウェンティ。そりゃあ、星野源も坊主頭です。息子も「いやぁ、“不適切” のほうも面白いのはわかるけど、こっちは素直にたのしめるわ」と安堵の表情。世代を超えた面白さがあることも改めてわかりました。
いや、しかし。『不適切にもほどがある!』。今のところ R16 な雰囲気の家族団欒の場で見るドラマではないのかもしれませんが、現代を生きる私たちが知らないうちに感じている息苦しさに一石を投じるわかりやすい痛快さがあったりもしますので、まだ観ていない方にはぜひオススメでございます。昭和 vs 令和。果たしてどちらがよい時代だったのか、時代なのか。私は、どっちも嫌だし、どっちもいいな、というのが2話を見終わったばかりの感想。最終回ではどう感じるようになるのかしら。そんなことより、ムッチでぇ~す。
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です