2023.09.04
20230904
息子が小学校5年生の9月から2年間通っていた塾。8月31日の夜「おれは塾を辞めるのだ!」と高らかに宣言なさる。いや、高らかにというのは大袈裟でございます。本人も随分と悩んだ結果、そういうことにしたらしいです。
辞めたい理由を本人から聞くと上手くまとまってはおりません。ばっくり、ざっくりとした理由は、もっと絵を描きたい、マンガも読みたい、映画も観たい、という、いわゆる “好きなことをもっとしたい” というところなのだと思いますが、本人としてはむしろ、「そういった理由で塾を辞めるというのはかなり賭けなんじゃないか」「人生台無しにしてしまうのではないか」というちょっと大袈裟な不安もあったようです。
ただ、そういった諸々の理由を述べる息子の行間を読んでいくと、おそらく本音は「宿題やらテストやら、知らないうちに与えられた課題をクリアするだけで精一杯になっていて、自分の脳ミソがまったく回ってねえ感じがするのがイライラするんだぜ。気持ち悪ぃーんだぜ」といったところにあるのではないかな、と思います。
いえね。別に塾を辞めることくらいなんということはないのです。しかしながら、このあたりの地域性なのでしょうか。はたまた全国的なものなのでしょうか。特に中学生にもなると、塾に行くのは当たり前、という空気感がなんとなくそこかしこにあります。私なんかはそもそも「塾? べつに行かなくてもいいんじゃね?」というタイプで、それでも本人が「行きたい」というので「ほな、どうぞ」という経緯がありましたが、そんな私でもそのような空気感の中にいると、こういうときに大声で「おう。やめちまえ、やめちまえー」と言えなくなっていることに “はた” と気付いたりもします。こいつの将来のためには、やっぱり塾で勉強をしておいた方がよいのではないか、もったいねーんじゃねーか、という不安が一瞬過ぎってしまう、ということです。
私のような中年でもそうなのですから、そうなると、もう中学生とはいえ、それでもまだ中学生の息子にとって、塾を辞める、というのはそれなりの覚悟だったのだろうなと改めて思ったりもするわけです。それってちょっと怖い話にも感じますが。
とにもかくにも。結局は空いた時間をダラダラ過ごしちゃうのかもしれませんし、やたらとイキイキしだすのかもしれません。ですが、私の経験上、勉強だけではなく、いざ何かをしようとした時には、心身ともにやわらかい、リラックスした状態にさせないと何事も本当には身につかない気がしていますから、中学校1年生の2学期。改めて、自分のペースというものをゆっくりと自分でつかんでいってくれればよろしいな、と思う次第でございます。
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です