「花火大会が終わるとね。夏はすぐ終わるんだよ」。8月のスピードは12月のそれよりも速く、師走（しわす）を上回る神走（しんわす）でございます。速い。もう7日。本当に速い。ゆっくりと。徐々に。森山直太朗の世にも美しきあの遠吠えが聴こえてまいります。

　私、思うに夏全開、夏の頂点は昨日の日曜日でその峠を越したのではないかと肌で感じております。いや、気温はしばらく高いままでしょう。しかし、ギラギラとしたレーザービームのような日差しの中に、まだほんの少しだけですが、やわらかさが確かに混じってきている気がし、私はすこし泣きそうになりました。ウゥーーーウゥウーーーー♪ あぁ、聴こえてくる。直太郎が聴こえてくる。お願いだから、もうちょっとだけ待ってくれ。私は直太郎の声をかき消すように、キンチョーの蚊取り線香を焚きました。

　というわけで。

　あの90年代夏ドラマ『BEACH BOYS｜ビーチボーイズ』が、先月の2023年7月26日にはじめて Blu-ray Box化されたことは、みなさん、すでにご存知かと思います。夏の終わりがぼんやりと蜃気楼のように見えはじめたこの時期。そんな夏の終わりの切なさと寂しさを共有できるのは、広海（反町隆史）と海都（竹野内豊）しかいませんもんね。いま、まだ聴いていたいのは、森山直太朗の高音ではなくて、反町隆史の低音ですもんね。私はそれなりの値段がすることでずっと迷ってしまっておりましたが、そろそろ我慢の限界を迎えつつあります。あ。で。みなさんは、もう買われたんですよね？ ・・・は？

　第1話。広海が、髪をかきあげながらこんなことを言っていました。

「😎ガキの頃さー。夏休み、楽しかったよねー。なーんであんなに楽しかったんだろ。オレなんかさ、別にほら、学校行くのが嫌だったとかつらかったとか、そういう思いはなかったんだけど。それでもやっぱ夏休みは、楽しいんだよね。ワクワクワクワクしちゃって。あれしよこれしよって。結局大したことできないんだけどさー。・・・何で、大人にはないんだろ」

　広海、いや、反町隆史！ おれ、大人だけど、今週10日から夏休みなんだ。「先月に城崎旅行行ったばかりだろ？」。それは言うなよ。もうちょっとワクワクしたいんだ。だって、夏なんだぜ。ビーチオッサンなんだぜ。「自分で夏は終わりだと思ったら、その時が終わりなんじゃないかな」。

　うもう、きょうはずーーーーっと何を言うてるの！（©️千鳥・ノブ）

◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です