20230728 | atelier naruse

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2023.07.28

20230728

 数日前、成瀬文子さんの Instagram で、彼女の母である成瀬憲子さんこと、私の “お義母さん” について投稿されていました。(上手いこと書くじゃねーか)と思いましたので、よろしければご一読いただければと思います。

 で。そういえば。そんなお義母さんをはじめとする成瀬文子さんの家族について、その昔に私が書いた原稿がふいに出てきましてね。文子さんの投稿と併せて読むとちょっと面白いかなあ、ということで今回はそちらをご紹介したいなと思います。

 この文章は、2013年。今から10年前に、義父の私設美術館『画廊 BananaMoon(長野県・安曇野)』で “成瀬家のそれぞれが生み出した作品を展示する” という 企画展が開催された際、私が寄稿した文章です。ちなみに、文章内に登場する “A店” は、現在もお取扱店さんとしてお世話になっている “angers ravissant 梅田店”さんのことで、“Kさん” とは、兵庫県三田市で大人気の『Barnshelf』オーナー小前さんのことですね。長いお付き合いでございます。

 では、前置きはこの辺で。下記からそんな文章をご覧ください。

ーーーーー ーーーーー(下記より引用。レッツ・ゴー🫵)ーーーーー ーーーーー

成瀬家と私(次女の夫)

 こんにちは。成瀬家の次女、文子の夫、早川卓馬といいます。彼女と私は結婚をして、もう間もなく丸6年。2歳になる息子、そして、猫2匹とともに、ここ、長野県安曇野からは遠く離れた兵庫県の宝塚市に暮らしています。

 ちなみに、私はもともと雑誌などで原稿を書き、編集することを生業としていたのですが、現在は文子とともに夫婦2人の小さな会社を設立。彼女がデザイナーを務める「naruse(ナルセ)」というアパレルブランドの経営に携わる傍ら、今回ここで紹介させてもらった書籍のコラムをはじめ、相変わらず細々とした執筆活動も続けているというわけですが、そんなことはさておき、成瀬家と私。

 先にもお伝えした通り、私は「早川」という名前です。当然、文子も結婚を機に早川という姓に変わったわけですが、こちらも先にお伝えした通り、私は文子の旧姓である「成瀬」の名を冠した「ナルセ」というブランドに携わっているわけです。

 そのため、仕事上の文子は「早川文子」ではなく、「成瀬文子」という旧姓で通していることはもちろん、彼女と共に仕事をする私は私で、プルルルルと電話が鳴れば「はい、ナルセです」と電話に出ます。周囲からも自然と「ナルセさん」なんて呼ばれる機械が増えてきます。「はい、ナルセです」。「ナルセさん」、「はい」。そんな受け答えをしていくうちに、不思議なものですね、自分は「早川卓馬」ではなく、「成瀬卓馬なんじゃないか」、「いいや、私は成瀬卓馬だ」、「なんだかいいじゃん、成瀬卓馬」、「お義父さん、養子にしてください」とだんだんに困った妄想・錯覚をおこしてくるものなのです。

 いえ、困った、というほど大げさなものではないにせよ、実際のところ自分にかかってきた電話に「はい、成瀬です。あ、じゃなくて早川です」と出てしまうこともしばしばで、そうすると電話の相手にそのような間違いをした理由を説明するのはなかなかに面倒くさいものです。

 このあたりの悩みは、マスオさんならきっと分かってくれるのではないでしょうか。マスオさんも、会社で「はい、磯野です。あ、じゃなくて福田です」なんてことはしょっちゅうかと想像します。

 ともあれ、そんなマスオさんと同様、私もいわゆる「嫁の実家」、成瀬家のみんなが大好きであることも、誤解のないうちに、あえて、念のためにお伝えさせていただきます。

 その証拠といってはなんですが、もう3年ほど前になるでしょうか、大阪のとある場所で「成瀬家の本棚展」という企画に携わったことがありました。

あの企画展は、その名の通り、お義父さん、お義母さん、義姉、義弟の著作物を中心に紹介するというものでしたが、今回、ここバナナムーンで行われている企画展と、「成瀬家の本棚展」は企画意図として少し似ている部分があったなと思い出しましたので、その際に私が書いた挨拶文を、一部抜粋してご紹介したいと思います。

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 (中略)

 成瀬家は、長野県安曇野に住む夫妻と5人の子どもたち、7人からなる家族構成。

父は画家、母は芸術家。長男は美術館の館長で、長女も画家。次女は洋服のデザイナーであり、次男はエディトリアルのデザイナー。三男は、というと、やっぱり画家。

家族全員がなにかしらの表現の場に携わって生きている不思議な家族です。

 しかし、もっと不思議なのは、“誰かにその存在を教えたくなる家族である”ということです。

それは、書籍に収められた作品そのものの素晴らしさであることはもちろん、アートや芸術、なにかを表現するという敷居の高さをヒョイと飛び越える痛快で愉快なエネルギーを感じるからにほかなりません。

 そもそも、「成瀬家の本棚」は、私のお気に入りの“成瀬家の本たち”を、A店のブックバイヤーであるKさんへ紹介したことに端を発します。

 ですから、今回の企画展開催に至ったことは成瀬家の面々に代わって感謝するとともに、実は合点のいく、よく理解のできる出来事でもありました。

  本日、「成瀬家の本棚」に足を運んでいただいた方。ふと足をとめていただいた方。

みなさまにとって、ここからよき出会いの一冊が生まれることを、そして、愉快な感動の連鎖が生まれることを願っています。

成瀬家・次女、夫

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  ここでも書いたように、成瀬家の多くはいわゆるアートや芸術という表現の世界に身を置いています。すると、かつての私がそうだったように、「それって、すごい」、「やっぱり普通の家族とはどこか違うんだろうな」なんてことを思ってしまうかもしれない。なんだか不思議な、一般の家族にはない“特別なもの”を感じてしまうんじゃないかなと思います。

 そもそも家族というものは、他所からみればどんな家族だってどこか特別で変だったりするものですが、それでも成瀬家はごくごくありふれた、普通の家族のように思います。それこそ、サザエさん一家となんら変わらない気がするのです。

  ただ、そんなありふれたどこにでもある家族、リアルなサザエさん一家のあれこれを、こんなふうにして見たり、読んだりする機会というのはなかなかないのも確かです。

  今回の企画に関して、私は成瀬家の一員として参加しているにすぎませんので、文子がなにをするのか、みんなが何をつくっているのか、一体どんな展示になっているのか、今これを書いている時点で実はなにも知りませんが、バナナムーンにお越しになった皆さんにとって、家族ってなんだろう、家族ってなんだかいいもんだぞ、なんて、おうちに帰ってから話せる今日になれば愉快だなと思います。

次女の夫

ーーーーー ーーーーー(ハイ。引用、ここまで🖐️)ーーーーー ーーーーー

 えらく長文でしたね。すみません。なんとなく、ふんわりと、面白かったでしょうか。さいごまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。お疲れSUMMERです。しかしまあ、10年前の文章なのに、変化も成長もないことよ。

 というわけで。

 そんな成瀬家の “何か” も大いに感じ取ることができる、『画廊 BananaMoon(長野県・安曇野)』で現在開催中の『成瀬憲子展-なつかしの絵たちよ-』。夏休み、長野県に遊びに行かれることがございましたらば、ぜひ、お立ち寄りください。「8月20日(日)まで」でございます。

 いつか。お義母さんの描いたもの、書いたものは広く知られるようになればいいなあ、と私もひそかに願っております。

 ひきつづき、夏まっさかり。周りでも暑さにやられる人がちらほらですので、無理はなさらず、水分をとることは忘れず。この週末も、たのしいシーズンをひきつづき元気に過ごしてまいりましょーねー。ミーンミンミンミーン。

◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です

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成瀬文子

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the an(ジ・アン)は、bokura co.,ltd. | atelier naruse の公式オンラインストアです。

the(定冠詞)と an(不定冠詞)を組み合わせたショップネーム。
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