先週末の金曜日。お昼の13時ごろ、14時から予定されていた打ち合わせのために私はみんながいる仕事場（ワクワクワークルーム）を訪れました。スタッフのみんなはちょうどお昼ご飯を食べ終わったころ。そして、その場に現れた私の姿を見たスタッフの女子たちは、自分でこんなことを書くのもいささか躊躇われますが、私に向けて一斉に “黄色い声” を上げました。そう。私は、髪を短く切ったのです。

　とかくこの世の女性は、男性のロン毛を拒みがち。短い髪を好みがち。カット前の私はロン毛というほどでもありませんでしたが、ショートボブ、耳はすっかり隠れる程度の長さで、お前さてはここから伸ばしていく所存だな、といった雰囲気を醸し出しておりました。実際に、ロン毛にしちゃおっかなー、と私自身思っておりました。しかし、もうすぐやってくる夏。加えて、私の周りには常に女性スタッフ5人の目がある。そんなわけで、このたび一念発起をした私は髪を短く整えたわけですが、その結果に対するスタッフみんなの評価が、あの “黄色い声” でありました。

　いやあ、そんなに短い髪がいいかい？ などと自分の意に反して口元が緩んでゆくなか、その場にいた女性スタッフのうち2人が「芸能人の誰かに似てるー」とハッピーアイスクリームなタイミングで言うのです。2人はそれぞれ「あー、顔は出てるのに名前がわからない」「有名な人やのに名前なんだっけ？」と時間をたっぷり使いました。その答えを待つ静寂のなか「え、誰、誰？」。私も含め、みんな興味津々です。

　しばらくして、2人のうち、一人のスタッフが言いました。「あ、思い出した！」「え、だれ誰ー？」「だれ誰ー？」「・・・佐藤健！！」。

　はい。こちらを読んでくださっているみなさん。どうぞ、落ち着いてください。怒らないでください。私の仕事場、ワクワクワークルームも「佐藤健」と発したスタッフ意外は皆一様に同じような空気になりました。「えーーーーーっ🤨！！！」「ありえへんありえへんありえへん😆」「どんな目をしてるねん😤」。私もみんなと同じように「さすがにそれはないわ🤪」とおどけて言いました。けれど、私は、本当は嘘をついていました。「佐藤健！」とこだましたその瞬間に、（あ！ 佐藤健な！ おれもテレビ見てて思ったことある！）と実は思っていたことなど言えるはずもありませんでした。

　そんななか、「わたしは違う人やねん。あの人やねん」。そうでした。もう一人、「芸能人の誰かに似てるー」と発言していた女子がいたことを。彼女はその方が出演しているドラマをスマホで検索し、その顔と名前にようやくたどり着いたようでした。「あー、この人、この人！」「どれどれどれー」「どれどれどれー」。

　みんなで彼女のスマホ画面を覗き込みました。みなさんもぜひその場にいる気分でのぞいてみてください。コチラです。

　はい。もちろんこの方が悪いわけではありません。私も出演作はいくつか拝見したことがありますが、とても素晴らしい俳優さんですし、いわゆる美形ではないと思いますが、男性の渋さと色気があるカッコいい俳優さんだと思います。しかも179cmとスラリとスマート。きっとご本人に会えば（かっこいいー）と驚く方なのでしょう。しかしながら、それはご本人がそうなだけであって、私に渋さや色気がないことなど充分に理解しています。しかも、私は160cm台のちびっ子です。その上で、たしかに、“顔” は “似ている” 。そして何より、佐藤健からのこの方への華麗なるカットアウト・カットインは、その場にいるスタッフ全員の爆笑を生み、佐藤健と発言をした女子も含む全員の強い納得度で空間が満たされてゆきました。「似てるー🤣」「似てるー😂」みんなの笑顔が、雨上がりの紫陽花についた水滴のようにキラキラと光っていました。

　でも、あれ、なんだろう。私の目から雨漏りが。修理したばっかりなのに。

　思えば私の心の中に広がっていた光景は、今、この窓の外に広がっている梅雨の雨雲にとてもよく似ていました。今週も、すてきな一週間になればいいなと思います。

　ねー、みんなー。佐藤健とねー。ぼくはねー。身長はたぶん同じくらいだよーーーー。だよーーー。だよーー。だよー。⛰️。

◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です