atelier naruse はレディースのお洋服をつくっていますが、ここ数年、特に私のような160cm 台のちっちゃメン(誰が “ちっちゃメン” じゃ!)であれば着ていただくことができるお洋服もラインナップされてきています。
そんなわけで。私も今では毎日着ている服のどこかには atelier naruse がコーディネートされていて、なんでしたらば、下着以外は全身 atelier naruse でコーディネートすることも可能になってきています。
たとえば、現在絶賛開催中の展示会では主にお越しいただけない店舗さんへ向けて私と成瀬文子さんがそれぞれのお洋服を説明する動画を撮影したりもしますが、その際は(せっかくだし)ということで私も基本的には全身 atelier naruse のお洋服を着て動画に臨みます。
しかしながら、あくまでも atelier naruse はレディースのお洋服。“全身 atelier naruse” となりますと、それはイコール “ 全身奥さんのデザインしたお洋服 ” ということですから、夫婦でペアルックの恥ずかしさに似ているようで、それともまた少し違う独特の照れ臭さが生まれ、先の動画を見直すたびにポッと顔が赤らみます。そうして、いつしかファッションという名の袋小路へ。おれはいったい何を着ればいいんだ。
これが、いつもの展示会ルーティーン。私だけが知っている、私の心の中の秘密のルーティーン。
そうして、「何を着ればいいんだ」に対する答えを探す最中に展示会本番を迎え、私はいつだって「何を着ればいいんだ」という迷いをそのまま体現したコーディネートで店舗のみなさんをお出迎えすることになるのです。
普段どおりのコーディネートでいいじゃない。でも、わざわざ来てくださる方をお出迎えするんだぞ、あまりにも普段着なのはちょっとカジュアルすぎやしないか。そうだよな、失礼だよな、だったらいっそのことスーツはどうだ。いやいやいや、アトリエナルセの展示会にスーツはおかしいだろ、しかも全部ぴちぴちじゃねーか。だよな、やっぱり普段どおりの服が一番似合うんだから、普段どおりでいいんだよな。でも、普段ってなんだよ、お前の普段ってなんだよ。え、なんだろ、普段ってなんだろ、っていうか、毎日どんな格好をしていたんだろ。
朝起きると、せまいクローゼットのなか、私はまるで初めてのデートに行く中学生女子のようにそんな逡巡を繰り返し、さらなる迷いの森へ。そうして徐々に時間は迫り、(もうこれでいいんだ。いや、これがいいんだぁぁぁぁ!)と森から外の世界へと飛び出すのですが、やっぱりそこも、まだ、森でした。
きょうは、釣りに行くときの格好で展示会へ行ってしまいました。
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です