7:30。スーツに着替えた息子の写真をスマホで撮影してから学校へ送り出したあと、6年前の入学式の画像をスマホから探して、実家の両親宛に「きょうは卒業式です」という内容のメールを2枚の画像付きで送る。
その2枚の画像はどちらも似たようなスーツと同じ色のシャツを着ていて、メールを送ったあと、「卒業式を迎える小学校6年生の息子」と「入学式を迎える小学校1年生の息子」の画像を何度も見比べては不思議な気持ちになる。
9:00。予報されていた雨は式が開始されるまでなんとか持ち堪えてくれて、ずぶ濡れのまま式を見守る覚悟をしていたから、すこしホッとして体育館に並べられていた椅子に座る。
9:30。やがて式がはじまると、右手と右足、左手と左足を同時に出して歩いている顔のひきつった息子が会場入りしてくる。それから意外なほどにあっさりと式は進んでいくなか、すっかり立派になった子どもたちの顔をぼんやりと見ながら、目の前の映像と重なるように思い出していたのは6年前の入学式のことでした。
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子どもの卒業式というのは、その成長をただ喜ぶべきもので、そのことに心が動き、ときには涙が流れるのだろうと思っていました。けれど、息子からすればいい迷惑ですが、私にとって息子の卒業式は、小さかった息子とのお別れの儀式でもあったような気がしています。きっと、自分の親が私の卒業式で泣いていたのは、そういうことだったのかもしれません。
そんなん知らんし、なんか縁起悪いし、そもそも俺はここにおるし。成長したらアカンのか! 成長しちゃってすまんかったのう! 私が息子なら、そう思うだろうなあ。わかっておる。わかっておるのだよ。でも、そういうことでもないのだよ。一人っ子っていうこともあるような気がするけどさ、そういう気になるのだよ。なっちゃうのだよ。きょうは、ごめん。許せ。
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そんなことをあれこれと思いながら、雨の卒業式、ぶじに終了。3人で自宅へと帰る道、隣を歩くすっかり青年になった息子は晴れ晴れとしていて、なんだかたくましく見えました。
卒業、ほんとうに、おめでとう。
父も母も、中学生の父、母に進級でございます。


◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です