昨晩から急遽開催させていただくことになった【2024|アトリエナルセ ノ フォーマル。|先行受注販売】。何故にこのタイミングになったのか、というところをすこし書いてみようかしら、なんて思います。
大体、こういったことは消費者目線で見ると「急遽とか言っちゃってさ。ほんとーは、前々から決めてたんじゃないのぉぅー?」なんて思ってしまうものかもしれないのですけれど(私なんか思っちゃうタイプですけれど)、いいえ、これがまごうことなき “急遽” でございました。
これから書くことはアパレル業界に限ったことでもないとは思うのですが、実のところ、アパレル業界、現在、大パニック状態でございます。と、思います。
その原因は? と言いますと。まあ、あまり文字にもしたくないのですが、コロナ、ウクライナ戦争。そして、そんな諸問題でそもそもの足元がふらつきはじめていたアパレル業界にとって、特に昨年後半に起こった歴史的な円安問題がダメ押しとなってしまい、結果、現在の混乱が引き起こされてしまったと個人的には思っています。ちょいと乱暴に書きますと、それまで海外で縫製されていた洋服たちの多くが、一斉に国内工場での制作に切り替えられてしまったわけです。するとどうなるか。現場はアップアップでございます。
しかも、この状況はそれら昨今の諸問題が起こる前からアパレル業界にずっと潜んでいた “縫製現場の高齢化” という問題が顕在化するきっかけにもなってしまいました。このあたりからだんだんと話題がデリケートに、複雑になっていきますので具体的な話は割愛しますが、本来、2月という時期は各所であたらしい春夏シーズンがゆっくりと立ち上がってくる時期です。ただ、そういった状況が重なって、おそらく今は多くのアパレルメーカーで準備されていた予定が軒並み遅れてしまっているはずです。私たちもそうです。そしておそらく、この混乱はもうしばらくは続きそうです。
atelier naruse のフォーマルラインは、8年前、卒入学(園)のためのフォーマル服として企画をしたものでした。ありがたいことに、今ではさまざまシーンで着ることが想定される洋服に育てていただきましたが、それでも “卒入学(園)式にいつもの自分でいられるフォーマル服” という企画当初の想いはたいせつにしていきたい。そして、そんな洋服を届ける私たちとしては、絶対にお届け時期の遅れがあってはいけない洋服でもあります。
だからこそ、縫製工場さんだけではなく、生地メーカーさん、ボタンなどの資材を提供してくださる各メーカーさん。それぞれが安心をして、余裕を持って、できることならたのしい気持ちでフォーマル服の制作に打ち込んでいただけるのはいつなのか。来年、いつもの時期にお届けするためにはいつを受注期間にすべきなのか。そんなことを色々と色々と考え、設定したゴールまでのスケジュールを逆算していくと、今しかない、という結論に至ったわけでございました。
もちろん、このタイミングは洋服を注文してくださる方にとってベストなタイミングであるとは思っていません。これまでは7月に開催されていたわけですから、ほんとうは気に留めてくださっていたのに情報を見逃す方だっていらっしゃるかもしれない。そもそも、1年も先のことを考えていただくことになる。そんなあれこれを私たちとしても随分悩みましたが、少なくとも、たのしみにしてくださっている方に安心して注文していただける、という意味では今がベストなタイミングだと思っています。
あ。これらはあくまでも atelier naruse における生産体制で考えた場合ではそうなった、という意味です。たとえば、私たちのようにフォーマル服を受注販売されてきたメーカーさんがあったとして、そのメーカーさんがこの時期に受注をとっていないとしたら、それは危ないよー、間に合わないかもよー、ということでは絶対にありませんのでね。みなさん、それぞれの背景があり、状況があり、そのなかでベストな方法を提示される、されていくことと思いますので、その点は誤解のないよう、ご理解いただけましたら。
ともあれ。
私たちは小さいブランドながら、それでもアパレル業界の端くれでございます。そんなアパレル極東の地から届かない声を叫ばせていただくとすれば「みんな、工場さんにもっと感謝しようぜー!」ということだったりします。さきほどにも書きましたとおり、多くの国内縫製工場では、そこで働いていらっしゃるみなさんの高齢化が進んでいます。少なくとも私たちがこれまでにお願いさせていただいている工場さんはそうです。そして、失礼を承知で書くならば、そこで洋服を縫ってくださっている “おばあちゃん”。本当にうまいんだ。機械的なうまさではなくて、きっと経験と技術があってこそ生まれる人間味のある “うまさ” です。
とかく現代では機械的なうまさが求められがちのような気もしますが、そういったうまさとは絶対的に違う “うまさ” がおばあちゃんたちにはある。そのセンスと技術と経験を、我々の世代、もっと若い世代に上手に継承できてこなかったのは、メーカー側の責任が非常に重いと私は思ってます。
「おめーに言われなくとも感謝してるわ!」と言われましたら秒で土下寝のお詫びをしますし、「だったら、おめーがそういう工場をつくれよ」と言われましたら「お金なーい。借金こわーい」と大泣きしながらお詫びすることになること必至だと思うのですが、どこかに「その文化、守っていこうやないか! 工場、つくっちゃる!」そういった気概のある方はいらっしゃらないものか。そうなりましたらば、私、少ない交友関係の中から「ただ自分たちの好きな洋服をつくりつづけたいだけ」という正気のアパレルブランドだけに声をかけてゆく、その工場の一助となる役目を果たしとう存じます。
というわけで。まあ、今はちょいと大変でございます。大変ということは、今は間違いなくこれからやってくる未来への分岐点。大きく変わるポイントです。だから、大変。でもまあ、なんとかしますし、なんとかなるでしょう。私、アホなだけかもしれませんが、そこのところ意外に大らかでして、そんな自分がスキ。なんとか naruse、でございます。
しっかし。長ぇ文章だなもし。さいごまで読んでくださった奇特なみなさまには、週末、きっといいことがあると思いますよ。テレビをザッピングしていたら違う曲なのに同じCMが同じタイミングで流れている、といったような類の幸運があることと思います。やったね👍。みなさま、元気な、ゆかいな週末を!
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です