ドラマ『ロングバケーション』のおそらく第2話。竹野内豊が演じる葉山真二が面接のために訪れたクラブ「テアトロン」。面接官は「女性はこういうところを見るんだよねー」と、その長い指を見て、真二を “雇われオーナー兼バーテンダー” として採用する、というシーンがあります。私はあれ以来、恋愛マニュアル本を信じている思春期青年のように「ほほう。指が長いのはよいことなのだな」と思って生きてまいりました。
しかしながら、私は指が非常に短いのです。爪も四角くて小さいし、お世辞にもキレイな手、キレイな指、とは言えません。いわゆる、コンプレックスのひとつ、というやつです。しかしながらその一方で「別にいいじゃん。なんか信用できる手じゃん」という自己評価を一旦下してからはこの問題をスルーしてきましたので、そのコンプレックスが私の何かを減速させる要因には決してなってはいませんでした。
ただ、ここ最近。急激な成長ぶりを見せる息子の手をふと見ると、なんということでしょう。指の長いこと。爪の長いこと。「え。ちょっと、お前、こっちきて」とピンクレディーのUFOばりに手を合わせて見つめてみますと、私の指と息子の指はすでに第1関節分ほど息子の方が長い。私の心をゆさぶる息子~。知らないうちに、自分のコンプレックスとしているところを、自分のDNAを受け継いでいるはずの我が子に凌駕されてしまっていたのです。私はここのところ、(これ、なんとかならねーかなー)と自分の手をじっと見ることがなんとなく増えていました。
で。私、発見しました。なんかこの甘皮の部分、削ったら爪の面積、増えんじゃね?
で。私、調べました。カチカチカチ。
で。私、驚きました。世の中にはすでにたくさんの甘皮処理グッズが出回っていたことを。
どうして、誰も教えてくれなかったのでしょう。そうか。友達が少ないからだ! うっせーうっせーうっせーわ。よいとせーのこーらせよいとせーのこーらせ。
いずれにしても、光明が見えました。私は今、Amazonのいう名のジャングルで、電動タイプの甘皮処理機を探す勇敢なる冒険者となっています。
もしかすると、近い将来、アトリエナルセを去る日が来るかもしれません。私はその時、バーテンダーをしているのでしょう。「今夜は何になさいますか」。その際はみなさん、ぜひ一度、遊びにいらしてください。
BAR『AMAKAWA』オーナー兼バーテンダー・HAYAKAWA(仮)より
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です