20230125 | atelier naruse

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Today’s
Memo

2023.01.25

 我が家は六甲山系の端にある山の麓に広がった住宅街の坂道の途中に建っています。ここいらでは最も高い位置に建っているのですが、自宅前の坂道を下っただけでも、坂の下と上とではちょいと気温が変わります。標高でいうと、200Mには少し足りないくらい。

 そんな我が家に引っ越してきたのは、2013年の3月。ちょうど、10年前。そして、その年の2月にも、こんな大雪が降りました。その日は、新居の雑誌取材が予定されていた日で “取材ができる状態なのかどうか”、取材班が来る前に朝から現場(我が家)を見に行くことになりました。その時に住んでいたのは、現在の我が家からは車で15分ほどの場所でしたが、そこでは雪は降っているものの多少積もっているかな?くらいだったからです。

 ただ、山へと近づくたびに雪の量は増えていき、「ああ、これは取材なんて無理かもな」とは思ったものの、建てたばかりの新居が今度はすこし気になってきましたので、車で一緒に来ていた成瀬文子さんを途中で引き返させ、私だけ歩いて新居まで行くことになりました。帰りはバスで帰るから、と。

 えっちらおっちらと歩いて坂を登るたびに標高は高くなり、眼下に見るうっすらと雪化粧された街の景色がとてもきれいでした。さあ、あともう少し。新居の建つ坂道へと足を踏み入れた、その時です。

 ハンハーンハハハハハァーンハン♪ ハンハーンハハハハハァー♪ 突如、私の脳内でさだまさしのハミングがはじまり、それまで私が歩いてきた道とはまったく異なる “白い世界” が目の前に広がりました。これまでずっと坂道を歩いてきたことで暖かったはずの身体から体温がどんどんと奪われていきます。履いてきた防水でもなんでもないただのスニーカーは雪にズッポリと埋もれ、(寒い。とにかく新居の中へ入らないと!)と急ぎますが、そういえばまだ引っ越していなかったため鍵がない。震える手で工務店へと電話をし、鍵の置き場所と暗証番号を聞いたけれど、その時にはもう指がほとんど動かない。(ヤバイ。ヤバイ。)身体全体を使ってなんとか鍵をこじあけ、まだ木の香りがする新居へ倒れ込むように入った時、(・・・あぁ。雑誌の取材なんて受けるもんじゃねーな)としずかに思いました。その時に撮影をした、まだ家具も何もないがらんどうの我が家の映像は今もスマホに残っています。「ありがとう。我が家。あたたかいよ。我が家。」泣き叫んでいる声が映像内ではこだましています。

 私はしばらく休んでから最寄りのバス停へ行きました。時刻表には『暴雪のため運行休止』と書かれた紙が貼られ、パタパタと風にはためいていました。遠くの方で、あれが最後だったのだろうバスがモクモクと排気ガスを出しながら坂道を下っていくのが見えました。

あれから、10年。10年に1度の寒波、とはまさに、です。ドキドキ。

◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です

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成瀬文子

What’s ‘the an’ ?

the an(ジ・アン)は、bokura co.,ltd. | atelier naruse の公式オンラインストアです。

the(定冠詞)と an(不定冠詞)を組み合わせたショップネーム。
an は【atelier naruse = a(atelier)n(naruse)】でもあります。

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わたしたち atelier naruse のスタッフが
ひとつひとつ検品をし、梱包をしてお届けいたします。
到着まで、たのしみにお待ちいただけましたらさいわいです。

atelier naruse スタッフ一同より

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