学生時代、私はバンドをしておりまして。そこではギターボーカルを担当していたのですが、その際に使用していて、アンプに繋いでも音が出なくなってしまっていたギター『Fender|Jazz master(当時、7,8万円くらいのもの)』を、先日、約20年振りに楽器屋さんへ修理&メンテナンスに出しました。
私はそんな Jazz masterくん以外にも、1万円くらいのおもちゃアコースティックギターと、2万円くらいのおもちゃエレキギターを所有していまして、この20年、その子たちがいれば私のへなちょこな技量では充分たのしかったのです。
けれども、ギターケースに入れていたわけでもなく、部屋のディスプレイ要員としてずっと部屋に出されていたJazz masterくんは、そんなおもちゃギターたちと私が戯れるたびに恨めしそうな目でとジーッとこちらを見ている気がしていて、“思い切って” この度の修理に。
なにも、“思い切る” ようなことでもないのですが、なんというのでしょう、きっと楽器を愛してやまない楽器屋の店員さんに、全身から “私ディスプレイにされてました感” が出てしまっている Jazz masterくんを見てもらうのがどこか恥ずかしかったのです。「お前みたいに楽器をファッションの一部だと思っているようなやつ、俺は好きになれないね」。そういうふうに店員さんに思われるのが怖かったのです。
(嗚呼、直したかった。俺はずーっとお前を直したかったんだ。でも、あの過去に起こった辛いバンド解散経験がトラウマになってお前に触ることができなかった ※そんな事実はない。でも、俺もいい大人になったんだぜ。なあ、楽器屋へ行こう。行って、直してもらおう。それで、20年振りに俺と一緒にあの爆音をかき鳴らそうぜ)
私はお店へ行く際、そんなオーラをたっぷりと纏って、あえてギターはケースに入れずに裸で持って、どこか潤んだ目でお店の前に立ちました。自分の持ちうるすべての演技力を注ぎ込んで、ゆっくりと扉を、ギィィィー。
私「(低音ボイス)この子を、どうか直してやってもらえませんか」
店員さん「・・・。ういっーす」
私「あざっーす」
私の演技は無駄でした。そして、ぶじにピカピカになって帰ってきました。修理費、諸々で8,000円。さっさと直しに行けばよかったです。ンギュイィぃぃぃぃーン♪ ふぅ、たっのしー♬ 店員さん、ありがとー♩
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です