第十五回 SONOKO。

みなさま。既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私たち夫婦には間もなく第一子が誕生しようとしています。

園子さんが妊娠されてからの毎日は、私にとってグラスいっぱいに注がれた大切なワインをこぼさないように過ごすが如くの日々でした。

 今にして思えば、本来のワインがそうであるように、注ぐワインはグラスの1/5程度で充分だった気もします。そうしてクルクルと優雅にグラスを回しながら「金色に輝く草原を楽しそうに走り回った後のカップルに訪れる沈黙のように深い」とかなんとか言って、その香りまでをも楽しめばよかったのです。しかし、数ヵ月前の私にそんな大人の嗜み方など知る由もありません。

 しかし、園子さんは私とは違って度胸がある。ひたひたのグラスを片手にしながらも、EXILEの「Choo Choo TRAIN」のアレを踊るようなところがあります。

 

 会社設立の際もそうでした。実は会社設立が私たち夫婦の間で正式決定されたのは、妊娠発覚後です。つまり、会社設立など出産後に延ばしても大きな問題はなかった。しかし、そんな時です。

 

・・・・・・ターイムレロレロウォンテピッキウォーンタピッポペッセロ♪(×2

 

 あの「Choo Choo TRAIN」のオープニングがどこからともなく流れ出したのです。

 そして、園子さんは、いや、SONOKOは情熱的に歌い、激しく踊りました。「設立フーッ♪」と。

 

 みなさま。女性というのは、こんなにも早く肝っ玉かあさんに変貌するものなのでしょうか。

 

いや、ともすれば私がそうさせてしまったのかもしれません。今のところ、地震、雷、火事、親父とはなれそうにもない私。火事から怖いものをずっと経て、何かの虫の卵の次くらいにしかなれそうもない私に嫌気がさし、地震、雷、火事、SONOKOに・・・・・・。そうならザイルを得なかったSONOKOに、私は一体どうお詫びをすればよいのでしょうか。

 

 MENGO

 

 そんなわけで、SONOKOの妊娠期間ももうすぐ終わり。あとは、陣痛という大団円を待ち侘びるばかりですが、私たちの息子(予定)は、AKB48がテレビに登場するとお腹の中でこぶし(推測)を突き上げ盛り上がるタイプのダンサー(秋葉方面)であることだけが心配です。

 

それでも、元気であれば、それでいい。

そうして、きっと、私は声高らかに歌うことでしょう。

 

会いたかったー、会いたかったー、会いたかったー、YES

 

夫も心配