第十話 私は"竹内力"になりたい。

みなさま、明けてしまいました。

おめでとうございます。そして、ありがとうございます。

 

昨年より巷を賑わせている"夫、待望論"を見て見ぬ振りをしていた訳ではないのです。ただ、書けなかった。事のはじまりは、もしかすると昨年のお正月から既にはじまっていたのかもしれません。

 

 あれは20091月。いつものように買い物から帰ってきた園子さんはとある3冊の本を手にしていました。それは太木数の子(仮名)の著書でありました。それによると、園子さんは「大殺界」。私は「中殺界」。しかも私は霊合星人だかなんだかよく分からないのも加わるらしく、とにもかくにも我々夫婦の2009年は「超殺界」の猪八戒ということでした。それでも、あの時の私たちはそれを笑ってやり過ごしたものです。「それもいいじゃない。人生、山あり谷あり。有栖川有栖さ」と。

 

 しかし、猪八戒は10月になり突如訪れたのです。強制退去大王という姿となって。

※つまりは「家を売りたいから出て行きなさい」ということですね

 

 ここまではなんとなく聞いたことのある話です。しかしそこは猪八戒。「保証金返還無術」だの「猫二匹飼違反殺法」だの色々な技を繰り出してくるのです。これまで仲間だと思っていた猪八戒の変貌ぶりに、私たち孫悟空も沙悟浄も戸惑いを隠せませんでした。それでも私たちは「借地借家法ビーム」や「秘伝奥義イスワリー」などを習得し応戦したのですが、まるで効き目がありません。そして今、私たちは三蔵法師を探し出すことで事の解決を試みておりますが、未だ三蔵さまは見つかっていないのです。

 

 嗚呼。こんな時、あれさえあれば。

 

 そこで私は20数年の時を経て祈りました。「サンタさんへ。ぼくに"威圧感"をください」と。でも、大人になったらサンタさんは来てはくれないのですね。クリスマスの朝、起きて枕元にあったのは抜け毛だけでした。このままでは本当に沙悟浄、いや、アルシンドになっちゃうヨー、です。

 

 そんなわけで、新たに訪れた2010年。「超殺界」を抜け出した私たち夫婦は新年より破竹の勢いで突き進んでおります。3,000円分の年末ジャンボ宝くじは、3,300円となって帰ってきました。お年玉つき年賀ハガキで切手が当たることは、まず間違いないでしょう。そして、三蔵法師もきっと・・・。

 

 あっ! あのきらりと光る御頭は!

 

 久し振りに会った、父でした。

 

 みなさま、本年も私たち夫婦を温かく見守ってください。