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日々 「何か用事があって走ってるというわけではないんだね」

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日々

そういえば だいぶ前から虫の声がしているのですね。じじじ ぴゅろろろ 毎年くりかえすわけで
こえとはいうものの 羽をこすりあわせて こういう音が出るらしいんですけど ふしぎですね。
今年は花火もなく われわれは ウイルスで こんなにあわて できないことがふえてしまうんですね。

さて 今日は村上春樹さんの「遠い太鼓」ですね。この本は1993年発行です だいぶ前の旅行 長旅エッセイということですかね。世界の旅番組をテレビでよく見るのですが これはだいぶ前のギリシャだなとか マスクをしてるから 最近のだとか思います。

さて 南ヨーロッパ、ジョギング事情のつづきです
 その日僕を呼びとめたのは、黒服のおばあさん二人と、五十前後の帽子をかぶった男という三人づれだった。男はロバをつれている。三人ともお百姓らしく、よく陽焼けして手脚が太い。三人は小さな農家の玄関口で立ち話をしていたのだが、僕が走って通りかかると話をやめて例によって点目、開け口でぽかんと僕のことを見ていた。それで「これはまずいなあ」と思っていると案の定呼びとめられた。それも五十メートルくらい走り去ったあたりで背後から「おーい、ヤング・マン、こっち来いや」と呼びもどされたのである。ひどい英語だけどまあなんとか英語である。参ったな何がヤング・マンだよ、とぶつぶつとつぶやきながら後戻りする。
「こんにちわ」と僕が挨拶する。
「こんにちわ」と男が挨拶する。
「こんにちわ」「こんにちわ」と二人のおばあさんが挨拶する。ひとりは度の強そうな眼鏡ををかけ、一人はゾウのように太っている。どちらもなんとはなく用心深そうに、僕のジョギング・シューズやたTシャツやらをじっと見ている。簡単には心を許すまいという感じがある。
「えー、どうして貴君はこの道を走っておるのかね?」と男がたずねる。この男がどうもスポークスマンの役を果たしているようである。
「走るのが好きだからです」と僕は答える。なにせ何度も何度も同じことばかり聞かれているから、この辺のギリシャ語の文章はぜんぶ暗記しているくらいである。
「ということはだね」男は頤髭をさすりながら質問を続ける。「何か用事があって走ってるというわけではないんだね?」
「用事はありませんね」


用事があるから 走る 用事があるから 歩く
そういえば どっかの国では しあわせ ということばがないんでしたよね そうすると ふしあわせ というのもないんかなあとか そんなことばわざわざつくらなくても いいって国なのかもしれませんね。
ギリシャのこの人達については 面白いなというまえに そうなのかと納得しているわたしです。この人達と一人のにっぽんの 用もないのに走っている人との会話は すでに もう コントです。


雨がやみましたね 用事があるわけではないのですが太陽の動向をしらべてきます。 


《 2021.08.23 Mon  _  読書の時間 》