who am ?I

PAGE TOP

  • 05
  • 18

モームさん

スキャン4835.jpeg{『月と六ペンス』

私の耳にした小事件ををいろいろ述べてきたがそれらは曖昧なままである。なぜならわたしはそれらの事件を引きおこした原因を知らないからだ。 彼が画家になろうとどこで決心したのかまるでわからない。
彼の結婚に関してもどのような影響をうけたのか これも想像の域を出ない。
しかし事実ははるかに退屈なものだった。彼は少しも嫌悪を覚えずに証券取引所に勤めはじめる。結婚する迄はごく平凡な暮らしだった。
ストリックランドほど単純な心の持ち主はいない。この男みたいに自意識の乏しい人間は見たこともない。
それにしても、どのようなけわしい登り坂を辿って、あのような絵画の極致に到達したのか、その家庭を描写することが一切できないのは残念なことだ。
私は一度もストリックランドが仕事をしているところを見たことがないし、他に見たことがある人がいるかどうかも知らない。彼は自分の苦悩の秘密を自分独りの胸にしまっていた。彼とブラーンシュが一緒に暮らした3カ月についても何も知らないのだ。

作者は このようになにも知らないところをうめていくわけで それはストリックランドが残した作品からさかのぼって行く作業でもある。
(これは推理小説みたいですね)(しかしそのわりにはダーク・ストルーヴは妻ブラーンシュに去られ 彼女は自殺をしている。我々に見せたストリックランドは個性的です)(だからといって これらのことだけでは作者は興味も推理もしようとはしなかったかもしれません。絵です ストリックランドが描いた絵。それも後になって人に知られ 偉大と言われた絵です)(多分)(しかし画架は小説家ではない。 絵が語るその人物は 推理の対照だけど 作家がその絵に興味を持つほどの 心うたれるものがあったから)
《 2021.05.18 Tue  _  読書の時間 》