who am ?I

PAGE TOP

  • 05
  • 01

モームさん

スキャン4820.jpeg『月と六ペンス』
かめむしが いました。ぽーんとつめで放り投げると あちゃちゃところがって おきあがろうとしました。すごいなあ、すばやいわ。

「おれが女房を愛したように、女房からも愛されようなんて、とても望めないことだからね。おれは道化者だ。女かrら愛される質の男じゃない。そのことはいつも心得ている。だから女房がストリックランドを愛するようになっても文句は言えない」
「全く君みたいに自惚れを知らない男には会ったことがない」と私が言った。
「おれは自分自身よりはるかに女房の方を愛している。愛情に自惚れがまじる時は、本当は自分自身を愛しているからこそなんだと思う。とにかく、男なら、結婚してから誰か他の女と恋に陥ることは始終あることだ、そしてその恋からさめると女房のところへ戻ってくる、そして女房はそれを迎え入れてやる、誰もがごく自然のことだと思っている。何故女の場合はちがわなくちゃならんのだ?」
「理論の上ではたしかにそうだよ」と私はほほえんだ。「しかし大概の男はそんなふうにはできていないからな、ゆるせないのさ」

「あの二人の仲に何かあると、今日まで疑ったことはないのかい?」と私がたずねた。
「その通り、おれは二週間前から知っていた。ブラーンシュ自身より先におれの方が知っていた」
「じゃあ何故ストリックランドに荷造りするように仕向けなかったんだい?」
「おれは信じられなかったんだ。そんなこととてもありそうに見えなかったからね。あれはストリックランドを見るのもいやだったんだから。ありそうもないどころか、とうてい信じられないことだ。おれの焼餅に
過ぎんと思った。だっておれは終始焼いていた、ただそれを表面に出すまいと努めていただけだ。あれの知っている男全部に対しておれは焼いていた、君に対してもだぜ。おれが愛しているように、女房は愛していないことはわかっていた。そりゃあ当然のことだからね。そうだろ?だが、あれはおれが愛するのを拒まなかった。それだけでもおれは幸せだったのさ。おれは数時間ぶっ続けに外出して、あれ達を二人きりにさせた、おれは疑う資格もないくせに疑う自分を罰してやりたかったんだ。そして、家に帰ると、おれが邪魔者にされているのがわかったーストリックランドじゃない、あいつはおれなんか居ようと居まいと眼中にないんだから。ブラーンシュだよ。キスしょうとするとあれは身震いした。遂におれにも事態がはっきりした時、どうしたらいいのかわからなかった。もしおれがじたばた騒ぎ立てたら二人に笑われるのがおちだとわかっていた。もしおれが何も言わず、見ないふりをしていれば、すべてがうまく行くと思った。喧嘩をせずに、あいつを静かに追い出そうと決心した。ああ、せめてあの頃のおれの苦しみを君にわかってもらえたらなあ」

ここの表現は せつないし 自分のことのようにせまってきますがな。あますことなく この手のことのひとつを表現していて やっぱりセリフは長すぎるかもしれないけど 舞台や映画ではいけるやろなあ。
ブラーンシュはいってみれば男にもてるところがあって、ストルーヴは持てないと思いこんでいる男だったと言うのがここら辺りから見えて来ますね。ストルーヴは前もっていろいろ計画するような所があるんですよね。でもこういう場合はそんなに平和的にはいかない
「私」はストルーヴにぐっすり眠らせてやることだと思った。大変な所に立ち入ってしまったって感じ。


《 2021.05.01 Sat  _  読書の時間 》