「月と六ペンス』
皛納釣り具合いはどーかな?
さて
ダーク夫人のブラーンシュはこの提案に相当抵抗します。
「あの人がこわいんです。何故だかわかりませんけど、あの人にはどこかおそろしいところがあります。きっとあの人は私達に大きな害を加えるでしょう。私にはわかります、直感でわかります。もしあなたがあの人を連れて来たら、悪い結果になるだけです」
「お前だって昔ずいぶん困って苦しんでいる時に、援助の手を差しのべてもらったことがあるだろう?そういうことがどんなに有難いかわかるね。チャンスがあれば今度は他の誰かに良い行いをしてあげたいとは思わないのかい?」ダークがそういいますとブラーンシュはちょっとぎくりとします。彼女は夫の言葉に明らかに反応します。そしてあんなにいやがったにもかかわらず、こういいます。
「ストリックランドをここにつれていらっしゃいな。ダーク。あの人のためにできるだけのことをしますわ」
そして翌日ストリックランドは二人に運ばれて来ます。ストリックランドはその後6週間寝つきます。ダークは仕事をやめて、やさしく同情を込めて看病をしたのです。
なかなかできませんよ、こういうことは。ダークのことを私は不思議に思うということは、その程度の人間だと言うことなんですが。ほんとにこんな人いたん?