
『月と六ペンス』角川書店 昭和33年初版
今日は 本の1ページと絵を組み合わせるにはどうしたらよいか 考えて、こうしました。
この1ペジはその会話でのすごさです。
この間のストリックランドの職歴
パリの夜を見たがるイギリス人のガイド、しかしそのみすぼらしい服装により 観光客をこわがらせてしまって、客を捜すことができなくなる
新薬の広告文を翻訳すること、ペンキ塗り
すぐアトリエがよいにはあきてしまって、独力で絵の勉強を
慧能やカンヴァスを変えないほど貧乏になる他人の助けを嫌がるたちなので独力で技術上の問題を解決するのにかなりの時間を浪費する
彼は夢の中で暮らしている、他人も自分もその目標がわからない心の目で見たものを得ようと努力するあまり他のすべてを忘れて、その強烈な個性の全力を傾けてカンヴァスに打ち込んでいる風に見える
その絵を完成させることはめったになかったらしいー自分のやり上げたものに満足したためしがない。彼の心に取りついた幻影に比べれば、そんなものは取るるに足らないものに思えた。
「何故展覧会に出品しないんです?」「人々があなたの作品をどう思うか知りたいんじゃないかと思っていましたが」
「そうかい?」
彼は短い言葉の中に、何ともいいようのない軽蔑を思いきりこめて行った。
「名声が欲しくはありませんか?大抵の芸術家が無関心ではいられなかったものですよ」
「子供だね。個人の意見すら何とも思っちゃいないくせに、どうして大衆の意見なんか尊重できるんだい?」
「そう理屈道りにゆく人間ばかりとは限りませんからね」
「名声を作るのは誰だ?批評家、作家、株屋、女だ」
「見ず知らずの人達があなたの書いた作品から深遠な強烈な感動を受けることを考えたら、ちょっといい気分がしやしませんか?誰だって権力を好みます。人々の魂を動かして、哀れを感じさせたり怖れを抱かせたりする。権力の発揮のし方として、これほどすばらしいものはないでしょう」
「メロドラマだね」
もうこの一ページの内容をうつすだけで、聴き入ってしまいます。会話の一つ一つが いいんですよね。
おきゃくさんどーですか?