
『月と六ペンス』
ロンドンへか帰り着くと、私を待ちかまえていたものは、夕食後できるだけ早くストリックランド夫人の家へ来て下さるようにとのたっての依頼だった。行ってみると、夫人はマックアンドルー大佐夫妻と一緒だった。ストリックランド夫人のお姉さんは夫人とどこか似ているが、夫人よりしなべていた。そしていかにもやり手に見える。まるで英帝国は彼女の意のままとでもいうふうだった。これは大佐夫人のみならず高官の婦人連によく見られる。上流社会に属しているという自覚から生まれるものである。大佐夫人の物腰はきびきびしていて、その立派な礼儀作法には、軍人にあらざれば人間にあらずという確信が殆どむき出しにあらわれていた。近衛連隊の連中の事を毛嫌いしていた、うぬぼれ屋だと思っているのだ。そしてめったに人を訪問しないその婦人連のことは、口を開けばついひどいことを言ってしまいそうだからうっかり噂もできないと思っていた。大佐夫人のガウンは野暮のくせに金目のものだった。
ストリックランド夫人は明らかに神経質になっていた。
「さあ、ニュースを聞かせて下さいな」と言った。
「御主人にはお目にかかりました。どうやら御主人は帰るまいときっぱり心をおきめになったようです」私はしばらく間をおいた。「絵をかきたいんだそうです」
「何ですって?」
「御主人がそういったことに御熱心なのを、一度もお気づきになりませんでしたか?」
「途方もない気ちがいになりおったに相違ない」と大佐は大声をあげた。
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夫人のところに帰って来て 彼はストリックランドの事を報告しますね
さあ大変、マックアンドルー大佐や大佐夫人(夫人の姉)のびっくりしたこと
予想通りじゃないですか?
夫人のまわりは軍人で 「軍人であらざれば人にあらず」という人達なんですね
そうなのか 軍人は そういうところがありがちなんだと思ったことです
勲章をむねに横並びにびっしりつけている写真は 考えてみれば そういうことが 上のくらいであるしるしだし などと
帰るつもりはないストリックランド、たしかに。 こういう環境では絵描きを始めるという事は気違いだたなんですよね。
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おちゃをいっぱいいかがですか