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モームさん

スキャン4779.jpeg『月と六ペンス。今度はじ』

「一緒に夕食をやってもいいですな。今度は君がおごってくれる番ですね」
「承知しました。お独りですか?」
この重大なる質問をごく自然に差しはさむことができたのは、我ながら天晴れと思った。
「ええ、独りですよ。実を言うと、この三日間、誰とも口をきいていない。私のフランス語は完璧というわけにはゆかないからね」
 私は先に立って階段を下りながら、例の簡易食堂の娘さんはいったいどうなってしまったのかなと考えていた。もう喧嘩をしたのかな、それとも彼の熱がさめてしまったのかな?しかし、一かばちかの生活に突入するために一年間着々と準備をすすめていたらしいが、もし本当にそうだとすれば、そんな推察はあたって
いそうもない。ストリックランドと私は歩いてクリシ街へ行き、大きなカフェーの歩道のテーブルに腰をおろした。

 その時刻のクリシ街は混んでいた。そして創造力のたくましい人なら、通行人の中にふしだらな常時にふけっている人間が大勢いるのに気がつくだろう。事務員あり、女の売り子あり、オノレ・ド・バルザック(1799−1850 フランスの小説家)の小説から抜け出てきたような老人あり、人間の弱点につけ込
んでもうけを得ている商売の男女あり。パリの下層地区の通りには、血を湧かせ、何が起るかわからんぞという期待に胸をふくらませるような、あふれんばかりの活力がみなぎっている。

一かばちかの生活に突入するために一年間着々と準備をすすめていたらしいが
とありますが ストリックランドは どのような計画をすすめていたのか
このパリの下層地区の通りの様子は 血を湧かせ、なにが起るか分らんぞという期待に胸をふくらませる
ような、あふれんばかりの活力のみなぎりをみせていたんですね。
ふと 彼等はどこから このパリに来たんだっけ?そこではじめからたどってみることに

「正直のところ、私が初めてチャールズ・ストリックランドに会った時、彼の中に凡人とかけ離れたものがあるなどとは少しも気づかなかった。しかし今では、彼の偉大さを認めない者は殆どないだろう。
チャールズ・ストリックランドの偉大さは本物である。彼の芸術を好まぬ人もいるだろうが、とにかくそういう人でさえ彼の芸術に関心という貢物を捧げることを拒むことはむずかしい」

自分はこのはじめのページでは 何気なく入ったんでしょうね。 いつものことながら最初のページというのは あまり熱心に興味深く読んではいなかったのです。この長編小説を読もうとしたものの 大丈夫かしらというのが先にあって。
しかしこの小説が実はかのゴーギャンのことかもしれないと思った時から がぜん興味がわいてきたのです。そして自分は 今日のところで、彼等はどこからパリに出てきたのかさえも 知らないことに気づくのでした。 なんと読んでみますと最初から ゴーギャンンという芸術家のことを書いているではありませんか。あきれた1
で、どこから?イギリスですね。 

《 2021.03.19 Fri  _  読書の時間 》