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モームさん

スキャン4772.jpeg『月と六ペンス』

「言い訳をするでもなし、『すまない』でもないんですもの。冷たいとお思いになりません?」
「こういう事情の手紙としてはずいぶん変っていますね」と私は答えた。
「言い訳は一つしかありませんわ、それは、あの人が正気じゃないってことです。あの人を思いのままに動かすことが出来るその女が誰なのかはわかりませんけど、その人はチャーリを別人にしてしまいました。二人の仲は長いこと続いていたにちがいありません」
「どうしてそうお考えになるんですか?」
「そのことはフレッドが発見しましたの。主人は一週に三晩か四晩、ブリッジをしにクラブへ行くと言っていました。フレッドはそのクラブの会員のお一人を知っていましたので、チャーリのブリッジ熱は相当なものだといったようなことを言ったらしいのです。するとその方はびっくりなさって、トランプ室でチャールズの姿を見かけたことさえないとおっしゃるんですって。今になればはっきりとわかりますわ、チャールズはクラブにいるものと私が思っていた時は、実はその女と一緒にいたんです。
 ちょっとの間私は黙っていた。それから、子供のことが頭に浮かんだ。
「ロバートに説明なさるのはさぞ骨が折れたでしょうね」と言った。
「あら、二人のどちらにも一っ事も行っていませんわ。だって、私達はあの子達が学校へ戻る前の日にやっと帰って来たようなわけでしたもの。お父さんは仕事のことで呼び出されたと言えるだけの心のゆとりはありました」

きのうから だいぶこの内容をしっかり見るようになってきましたよ。まだ夫人には事の重大さの 本当の箇所がわかっていませんね。

きょうの手に引っかかった品は タイルとチューリップの片ぬきです
私の庭にはまだ水仙もチューリップも咲いていませんがね
《 2021.03.09 Tue  _  読書の時間 》