『月と六ペンス』
今までの私の推測もまんざら不正確ではなかったようだ。ストリックランド夫人はインド勤務の文官の娘で、父は隠退すると田舎の奥深くに腰を落着けた。しかし毎年八月には家族を連れてイーストボーンへ転地するのが習慣だった。そしてその地で、夫人が二十の時、チャールズ・ストリックランドに会ったのだ。彼は二十三だった。二人は一緒にテニスをしたり、肩をならべて海辺の道を歩いたり、二人で黒人楽団に耳を傾けたりした。そして、彼が結婚を申し込む一週間前に、既に申し込みを受ける決心を固めていた。二人はロンドンに住んだ、最初はハムステッドに、そしてやがて彼が金持ちになるにつれて、都心に。夫婦の仲に二人の子供が生まれた。
「主人はいつも子供達をとてもかわいがっているように見えました。例え私には愛想をつかしても、子供まで平気で棄てられるとは思えません。何もかもあまりに信じられないことばかりですわ。今でもまだ、本当だとはとても信じられないくらいです」
遂に夫人は彼の書いた手紙を私に見せてくれた。私は見たくてたまらなかったのだが、見せて下さいとはとても言い出せないでいたのだ。
背景
アパートの中はすべてきちんとしてあります。お前のいいつけをアンに伝えておいたから、お前と子供達が帰った時には、夕食の用意ができている筈です。その時私はアパートにはいない。お前とはなれて暮らす決心をしました。朝になったらパリへ行きます。向こうについてからこの手紙を出します。私は帰ってこない。この決心は不動のものです。 敬具
チャールズ・ストリックランド
*
ひえー!手紙の文面は なぜか大佐が言っていたようには思えませんでした。
仲のよかった夫婦に何があったのか。
この時 ふっとこの『月と六ペンス』には 画家ゴーギャンのことが出て来る そう私は聞いた事があって
それまでは たんにちょっと退屈な小説だったんですが。
そこに話を移しかえると えっと思ったのです。
この手紙にしても 「アパートの中はすべてきちんとしてあります」
こんな風には書かないでしょう 浮気だけだったら
「お前とはなれて暮らす決心をしました」「私は帰って来ない」
まことに?
自分はゴーギャンがタヒチに行って 絵を続けたこととか それらが今に残る名作であることは画集なんかで知っていたのですが ゴッホとの共同生活はどこいらへんでしたっけ?それでも当時は 彼の絵はそれほど売れてはいなかった筈
しかし 長年連れ添った夫婦が 子供もいて どういう風に別れて行ったのか 自分は実は知らないのでした。
モームはそこのところから書いているわけだとしたら
いやいや ゴーギャンの話に結びつけるのはまだはやいのかも
*
人間っておかしなものですね 何故ここでゴーギャンが頭に浮かんだのか。
これはあくまでも小説ですからゴーギャンという名は出て来ませんよね、それなのにそれなのに(歌ちゃうでー)
ウルトラじゃないね、これは。しかしこのてのものは昆虫に近い顔をしていますね なんでやろ