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モームさん

スキャン4769.jpeg『月と六ペンス』

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 一日か二日たって、ストリックランド夫人から、今晩お食事のあとでおいで頂けましょうかとの書つけが届いた。行ってみると、夫人は一人きりだった。きびしいまでにかざり気のない黒い服は、夫に去られた身であることをにおわしていた。夫人の本当の気持はどうあろうと、演じなければならない役柄に夫人なりにふさわしいと考えるような服装をすることができるのには、私は悪気なしにびっくりした。
「私がしていただきたいことは何でもして下さるとおっしゃいましたわね」と夫人が言った。
「その通りです」
「パリへ行って、チャーリに会って下さいます?」
「私が?」
 私はあっけにとられた。彼とは一度しか会っていないのに。いったい夫人は私に何をしてもらいたいんだろう。
「フレッドはぜひ自分が行くと申しますの」フレッドとはマックアンドルー大佐のことだ。
「でもあの人はその任じゃありませんわ。事態を悪化させるだけですもの。他にどなたにお願いしたらいいのでしょう」
 婦人の声は少しふるえていたので、ためらうだけでも自分がひどい人間に思えた。
「でも御主人には二言三言しか話してないんですよ。私のことなんか御存知ないでしょう。おそらく一言のもとに、地獄へいけ、と言われるのがおちですよ」
「言われたってかまいませんでしょ」
 ストリックランド夫人はほほえんだ。
「で、私にしてほしいとおっしゃるのは、いったいどういうことなんですか?」
 夫人はその問に直に答えなかった。
「チャーリがあなたを知らないのは、むしろ好都合だと思いますの。だってね、フレッドのことは本当に好きだったためしがないんですの、馬鹿だと思っていましたもの。チャーリは軍人を理解できませんでした。
フレッドのことですから、きっとカンカンに怒って、喧嘩になってしまうでしょう、そうすれば事態はよくどころか悪くなってしまいますわ。もしあなたが私のために来たのだとおっしゃれば、チャーリだってあなたの話を聞かないではいられないでしょう」
「私はまだお知り合いになってから日が浅いんです」と私は答えた。「このような問題と取り組むには、細大もらさず承知していなければ誰にだって無理ですよ。かといって、自分と関わりのないことをせんさくはしたくありませんしね。何故奥さんがご自分で会いにいらっしゃらないのですか?」

今のところ 私に出来ることは 今日はここまでというのを自分なりに見ることなんです。
ここでとめると 自分なら あしたはどうなるんだろうなと 思うかなと。
お客さんこの止め具合いいは いかがでしょう
この彼と夫人の会話は 彼はまことにまっとうなんですね。正直と言うか。「何故奥さんがご自分で会いにいらっしゃらないんですか?」
ところが夫人の言葉は これもなるほどなんだけれども この時点で黒い地味な服装をしている夫人は 考えてみれば世間体をだいぶかまっています。おそらく結婚した夫人の世間体です。だけど、真相を確かめなくてはならない。そこで彼にその役を。 
独身の彼は夫人の言っていることに 疑問を感じている。このずれが どうなっていくのか? 
さてこれからどう展開して行くのでしょう。彼はチャーリのところへは 行くつもり?
しかし 夫人の声はふるえたり ほほえんだり 

この紙粘土に意味不明な文字らしきものを書いたのは あいかわらず不思議語が好きな私だからです。言っときますが暗号ではありません。

《 2021.03.06 Sat  _  読書の時間 》