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モームさん

スキャン4753.jpeg『月と六ペンス』

さて

 夏の間、ストリックランド夫人に会った。婦人のフラットで開かれる気持のいい少人数の昼食会や、それより大人数の茶会に時折出席した。婦人と私は互に好意を感じた。私はごく若かったから、おそらく婦人は文学という困難な道に初めて踏み込む私の手引きしてやることがうれしかったのだろう。私は私で、よく耳を傾けて聞いてくれる上に、物わかりのいい忠告をしてくれると安心しきって、ささいな心配事を打明けに行ける相手がいるということはたのしいことだった。ストリックランド夫人は同情という天賦の才能を持っていた。まことに結構な才能なのだが、とかくこの才能を持っていると自覚している人達によって悪用されがちである。というのは、自分の有能ぶりを発揮せんものと、友人の不幸に襲いかかるその貪欲さには、
どうも残忍なところがあるからだ。それは油井のように吹き出す。そして同情あふれる人達がその同情をやたらと注ぎ込む、時にはその犠牲者をとまどわす。既にあまりにも大勢の人の涙にぬらされといるから、今更私の涙でぬらすわけにはゆかないという胸の持ち主がいるものだ。ところがストリックランド夫人は、そのすぐれた才能を発揮する際に実に如才がなかった。婦人の同情を受けると婦人に恩恵をほどこしてやっているのだ、という気がしてくる。若かった私は感動のあまりこのことをローズ・ウオーターフォドに言った。すると女史は、
「牛乳はとても結構なものよ、殊にブランデイーを一たらし加えた時にはね。ところが家畜の牛ときたら、その父を出したがりすぎるんでねえ。乳房が張るとやりきれないもんだから」
 ローズ・ウオータフォドはひどい毒舌家だ。こんなひどいことを言いきれる人は他にいない。だが一方、
この人みたいにうまいことを言える人も又いないのだ。


このモームさんは この場合女性をかかしたら うまいと思わせますね。
ここら辺は主人公の若いときの話ですね。

「ストリックランド夫人というのは同情という天賦の才能を持っていた。誠に結構な才能なのだが、とかくこの才能をもっていると自覚している人達にによって悪用されがちである。というのは、自分の有能ぶりを
発揮せんものと、友人の不幸に襲いかかるその貪欲さには、どうも残忍なところがあるからだ。」
著者の世間にはこういう人もいる ああいう人もいるというくだりには 時代は変われど こういうこともあるのかなと 自分のことやまわりのことを考えてみるようになるんですね。
そして続きます
「それは油井のように吹き出す。そして同情溢れる人達がその同情をやたらと注ぎ込む。時にはその犠牲者をとまどわす。既にあまり大勢の人の涙にぬらされているから、今更私の涙でぬらすわけにはゆかないという胸の持主がいるものだ。ところがストリックランド夫人は、そのすぐれた才能を発揮する際に実に如才がなかった。婦人の同情を受けると婦人に恩恵をほどこしてやっているのだ、という気がしてくる」
まだ読みはじめ手間がない私としましては これはストリックランド夫人をほめているのか どうなのかわかりにくかったりするのです。なんて回りくどい言い方をこの著者はするのかしらと。
ローズ・ウオータフォドは
「牛乳はとてもけっこうなものよ、殊にブランディーを一たらし加えた時にはね。ところが家畜の牛ときたら、その乳を出したがりすぎるんでねえ。乳房が張るとやりきれないもんだから」
またきたか これも とおまわしに
しかし こういうことを喋るにしても 例えをうまく表現できなきゃと思いますね 
これが文学というものか 毒舌とうまいは同時にあるわけ?

さてと 『人間の絆』を映画版でみていく 清水明さんですが
「それは原作の多くを占めるミルドレッドと泥沼の関係に陥る若い医学生フイリップの生々しいリアルな苦痛と精神的快楽を描くことにあった。映画全体のアウトラインは、プロローグとして地方の学校に転校して来たフイリップが校庭で自分の不自由な足について集団で執拗にいじめにあう場面から始まる。後年の主人公の苦難を思わせ、1934年作にはなかったこの場面は、少年の人生の旅立ちに暗雲をもたらすものとして、象徴的な出だしとなる。」

いつも人の説明で映画の内容を想像する ふらちな私ですが なるほどこういう出だしの映画なんですね
このまま 映画の話で この本は読んでみようかなと思います。
この「月と六ペンス』にしても まだ読みはじめですが 映画になりそうと感じています。
役者さん達は 気持ちの動きなどをうまく表現できることはとても大切な要素だと思います。それに女性が今のところよく出て来ますからね。彼女はどういう女優さんかしらとか 想像したくなりますから
映画の監督さんにしても これは映画として成功するのかを どうすすめていけばいいのとか 考えているんでしょうね

どんぐりです、はい

きのう唐十朗(ああまちがえてるかもしれない!)赤テントの演劇の様子を みました。
唐さんも81歳なんですね。
大変そうなところに(それは他の国にも)いってやってたんですね
逮捕されるときもあったり 機動隊が押し寄せて来た時にはそれも演技に取り入れたり
現地でその演劇を見たことがあるという外国の人も 当時は子供だった人が そのことをうれしそうに 話しているのをみて この人偉い人やったんやなあと しかし李麗仙さん(字が間違ってるかも知れん!)も疲れたやろなあ 子供もいてとかいろいろ思いながらみました。




《 2021.02.18 Thu  _  読書の時間 》