母の自伝
つづき
よい家庭で 学校でも指導的立場にいるしっかりした子どもが
夜尿のくせがあったり 人のものを盗む癖があったり 虱をもった子供たち 畑のものを盗む子ども 夜おこして便所につれて行っても やはりおとす 元気な明るい子がしょんぼりしてくる
毎日ぬれたふとんをほす
今でも桃色の毛布の色が目の前に浮かんで来る
大分なれた頃に 軍部の人がここへくるので 児童はここよりずっと奥の山の方にうつらねばならぬという うわさがたった
おばあちゃんも健康があまりすすまぬ なんとかしなければ とてもつとまらぬと思った
次男とおばあちゃんをとりあえず 宍粟のほうへかえし 三男は里の方の姉にあずける事にした
やっと独りになってくらしだしたが B29は日本海に面し 美穂基地のあ
る(島根県)私の里のほうも不用心になり 姉は心配だから三男をひきとってくれといってきた
私もとうとう学校に勤めるのは無理だと思い恩給を目前にしてやめる決心をした
*
あれ これ打ったよね そんなところを うろうろしている感じの私ですが どうなんでしょう
疎開先での 生徒たちの おねしょの話や 畑のものを盗む子供らや 虱の子どもたち
これはなれない そのうえ親たちとはなれている子供たちには きっと
ある話だと思うんだけど お母ちゃん
母は けっこう そういうところは 先生だったのかもしれません
しかし おフトンを干すのも 大変だったね
自分の子供の事もいろいろ考えなくてはならないしね