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母の自伝

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長兄の事です

書き忘れたが兄にはまだまだ特技があった
青年の頃私の町では角力、運動会が盛んであった
小学校なども同じだが 今のようにダンスなどなくて もっぱら走りっこが主力だった
毎年秋だか春か忘れたが 青年の角力(すもうかも)が盛大に行われた
近くの町から夫夫選手を出し部落総出で応援に出かけた
小学校の賞は主に半紙だったように思う
青年はノートや半紙やその他いろいろあったが忘れてしまった
とにかく角力も走りも兄は敵なしだったから母は大きな風呂敷をもって出かけた
兄が角力に出ると母や兄弟たち部落の人々は声をからして応援した
その勝ちぶりにうれしくてたまらなかった
走り競争が始まると その早いこと群を抜いて 後をふりかえって見るほど ずばぬけていた
私はほこらしさとうれしさに 声のかれる程 応援した
兄は手を上げてにっこり笑ってゆうゆうとテープを切った
私は嬉しさとほこらしさに両手をあげて兄をたたえた
母は毎年こうして大フロシキ一パイの賞品を背に負ってかえった
母も体格がよく力の強い人だったから平気で家までかついで帰った
その夜はこうふんしてなかなかねつかれなかった
いろいろのことに秀れていて やさしかった
兄を永遠に忘れる事は出来ぬ
角力の闘技でその強い事 今も目の前に兄の勇姿があざやかに浮かぶ
兄はよく遠くの角力に出かけていって賞をもって帰った
冬の寒い日 孫をふところにすっぽり入れて 連れ歩いた兄の姿が
はっきりうかんで懐かしさに涙する
兄は大変親孝行で誰にでも親切であった


この運動会や角力にたいする熱さは どうだろう
こういう競技では 兄弟にたいする応援は たしかに熱を帯びて来る
自分も そういう経験をしたので よくわかる 自分は声をからして
その兄たちを応援した
私のかいわいでは 走りにめっぽうつよい男性が一人いた
私の兄は勲兄 武兄 靖兄との順番に 走りが速かった
勲兄と武兄がそのグループに出た
勲兄が ひごろは 煙たいだけの兄だったのに やはり声をからして
応援した 結果はやはり その人が強かった
どこに住んでいても こういうヒーローがいるものだと思う
母にとってのヒーローは この長兄だった
大風呂敷を 勝つ事を信じて あらかじめ用意している おばあちゃん
いそいそと家族で出かけて行く姿が 目に浮かぶよう
長兄の事は一点のくもりもなく 母にとってはそういう相手だったのだろう この兄の嫁さんの事も おとらさんと言ったと思うが よく働く
しゅうとめさんに気に入られた人だった 私はそのころ 主婦の友という本だったと思うけど おとらさんの出て来るまんがを読んでいた
この名前の人はよく働く 面白い人だった

 
《 2020.07.16 Thu  _  思い出 》