八木重吉
はらへたまっていく かなしみ
かなしみは しずかに たまってくる
しみじみと そして なみなみと
たまりたまってくる わたしの かなしみは
ひそかに だがつよく 透きとおってゆく
こうして わたしは 痴人のごとく
さいげんもなく かなしみを たべている
いずくへとても ゆくところもないゆえ
のこりなく かなしみは はらへたまってゆく
*
そうか たまっていくし さいげんがないのだな
かなしみは
で
ふあんとかなしみは どう違うのかなもし
わたしが ずっと前 赤い表紙の 小さな詩集を つくってもらったとき
八木重吉の詩を思い出すね そういった人がいて
夫に その詩人の詩集を みせてもらって
いやあ と 黙ってしまった
きょう 八木重吉の詩がこのようにでてきて
もう一回 だいぶん前に そういわれた事を思い出して
これは わたしを くるんでくれるようなところが
あるなと
いやあは やめにした