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衝動
わたしは あのとき何故ああだったんだろう
子どもの頃の事を 思い出しています
玉虫、漢字でこう書くのかな
この虫が めったに我々の前には現れず
だからこそ それは逃してはならない
そう 思っていました
とにかく 小さいときから そう思っていたのだから
兄かだれかに教えられていたのか
さて ある日 子どものわたしは その虫を見つけたのです
とっさに走り出します そっと近づいたのに
飛んで行ってしまいます
わたしは とにかく おっかけます
今のように 車が走ってたら わたしはぶつかってたかもしれません
とにかく 走り続けて おいついたのかな
いや 他のときに またであったのかな そこのところは
思い出せないのです
そこで つかまえたのです
わたしは あわてて 箱に閉じ込めました
不思議な虫だろうから 去った逃げてしまうかも知れません
やっとそうやって つかまえられたのに
わたしは もういちど すぐには見ませんでした
何日もして そっとあけてみると
死んでいました 肌色の絵の具のような物を出して
でも その羽は あいかわらず うつくしく虹色のように
光っています
きっと 何年経っても こうなのかもしれません
７０才の今は 羽が死なないのは なぜだろう
そう思います
あのときの 衝動を わたしは ほかのときでも
感じるときがありました
ゴミ拾いに行く時 自転車に跳び乗ったときの衝動
子どもをスケッチするときの まるで水に飛び込むような集中
大事にしています
《 2020.01.31 Fri _ え 》