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兄のこと

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ここに 『漱石と石鼓文』という渡辺出版からだされた本があります
私の兄が書いた本です 平成19年3月28日発行とあります
2007年ですから 母もなくなっています 私たち夫婦に
贈ってくれた本だと思います
兄は 去年亡くなったのですが 中国文学 漢文 日本の古典文学
を研究していました
こういうふうなことを書いていて どこか緊張しているのは 自分が
兄の研究についてよく知らないからです
兄の名前は 栃尾武 この栃はほんとうは木へんに万という字を書きます
あっ そう表紙には 木へんに万ですね
この兄の研究書の中には 手書きのものがあるのです なぜそうしたのか
聞いておかなかったですね
この漱石の石鼓文についても 何の話もしませんでした
もうむずかしくて わからない というのが その時の自分の思いでした

しかし ここのところ 私は この本を どういうわけか さわってみたり
うしろのほうから読もうとしたり そしてとうとうはじめから 読みはじめたのです
私のこの部屋には 兄の写真のコピーが(遺影)せんたくばさみでとりつけてあります
向かって左上前方 この写真に向かって 毎日のように軽く話しかけます
「ああそうだね」とか兄は返事をくれるようなんですが その真意のほどは分りません
なんのはなしでしたっけ
そうそう この本の中に漱石のことが書いてあるのです
これは 私が めずらしくも漱石の『こころ』を読みはじめようと取りかかったのが
2018年12月10日 計算が間違っていなければ 兄はまだ生きていたんですよね
こういう事まで計算できなくなる私なのですが
石鼓文というのは いったいどういうものなのかと 今 何度も読んでみているんですが
古い中国の文字がほってある石に紙をおしあてて 転写すること それを拓殖というんですかね
それだと思うんです で 漱石はこれを『心』の表紙に使ったんですよね
漱石は亡くなっていましたから そうなのかというのが はっきりしなかったそうなんですが 鏡子夫人が この石鼓文のことを話されたそうです
『心』のときには 表紙を人任せにせずに 自分で漱石はやったそうですね
ここで 自分が 2018年の12月から2019年の10月までかかって 読み終えた
漱石の『心』とつながるんですね
私は兄の本と接点があったなんて もう少し早く気付いていたらと思います
兄と晩年はなすことといえば 祖父母の思い出だとか 父母の事 戦争のこととか
そういうことでした
源氏物語 小野小町 古典文学については 自分は話す力などもちあわせていないと
思っていました
『心』を少しずつ読んだ事が この兄の本に私をグンと近づけてくれましたし 兄が
こんなことをやっていたのかと はじめてのように思った事でした
とはいうものの なかなかてごわい本ではあります
触ったり撫ぜたりしながら 少しずつよんで 石鼓文の事を見ていきたいと思っています

《 2019.11.23 Sat  _  これくしょん 》