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こころ 夏目漱石

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こころ 先生と遺書 夏目漱石 つづく

kの葬式の帰り道に、私はその友人の一人から、Kがどうして自殺したのかのだろうという質問を受けました。事件があって以来私はもう何度となくこの質問で苦しめられていたのです。奥さんもお嬢さんも、国から出て来たKの父兄も、通知を出した知り合いも、彼とは何の縁故もない新聞記者までも、必ず同様の質問を私にかけないことはなかったのです。私の良心はそのたびにちくちく刺されるように痛みました。そうして私はこの質問の裏に、早くお前が殺したと白状してしまえという声を聞いたのです。

家を移ります
無事大学も卒業しました
結婚しました
けれどもわたしの幸福には黒い影がついていました。私はこの幸福が最後に私を悲しい
運命に連れて行く導火線ではなかろうかと思いました。

結婚した妻が二人でKの墓参りをしようと言い出しました
どうしてそんな事を思い立ったのか妻に聞きます
それはKが喜ぶだろうからと言いました
私は腹の中で、ただ自分が悪かったとくりかえすだけでした
《 2019.10.05 Sat  _  読書の時間 》