- 10
- 05
ひげばあさん
うまれていた
なにが？
口に１ぽん たてじわが
いつ？
気がつかなかったわ
そうじゃないでしょ
こどもも５人目という あのとき
娘の同級生のお母さんが ぽつりと言ったもの
「あんた 口のしわ」
忘れられないわ でもあんまり忙しいので 忘れなきゃならなくて
５０代のおわりごろ はじめてのようにさわぎだしたの
「消してやる！」
まいにち唇の体操をして
くりーむをショートケーキほどぬって
ところで
たてじわのおんなを ジッと観察していると
外国の白人のおばあさんにたまんなく ある事に気づく
日本のおばあさんは もうきっと８０すぎだろうに
なんにもなく きれいなひとがたまにいる
これは はなぺちゃでも せがひくくても
奇跡 たてじわに関しては
６０になっても そのたてじわは 自分の場合
きえるどころか ふえている
考えてみれば 一本ずつ消えていく方が まあ かなっていない
もう消えない ふえると 言い直さなくては
かたつむり
何か浮かんできた言葉だけど どう関係するのか？
しない どうしょう
かたつむりには口もとはあったっけ？
あいつはあんがいしわのないやつだから
あいつにこの口のまわりを一周してもらったら
しわはきえて ねんがんの口もとになるかも知れないな
今膝に乗ってきた ねこのむらかみは どうだ？
ひげのしたにあるとして それはみつけられない
じゃあ むらかみのまねをして 私もひげをつけたらどうだろう
時は過ぎ
たてじわは ちょうどふさわしい時がきた
ひげのばあさんがいたら この私かも
《 2019.10.05 Sat _ エッセー 》