こころ 先生と遺書 夏目漱石 つづき
事実を蒸留してこしらえた理論などをKの耳に吹き込むよりも、原(もと)のかたちそのままを彼の目の前に露出したほうが、私は確かに利益だったでしょう。私にそれができなかったのは、学問の交際が基調を構成している二人の親しみに、おのずから一種の惰性があったため、思い切ってそれを突き破るだけの勇気が私に描けていたのだということをここに自白します。気取りすぎたといっても、虚栄心がたたったといっても同じでしょうが、私のいう気取るとか虚栄とかいう意味は、ふつうのとは少し違います。それがあなたに通じさえすれば、、私は満足なのです。
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ええっと つまり 思っている事をストレートに言えなかったという よくあることではなくて?
ま それで二人はまっくろになってやせて下宿にかえってくるのですね
そしてみますと まずお嬢さんの態度が 前とかわっていたのですね
まえは とにかく Kの部屋にいたり あやしかったんですよね
ところが それが「私」を優先するようになっている
どういうことなんでしょう