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いのち
母ちゃんはな
２６才で結婚
長田神社の上の池田小学校
県立第２女学校の下がおもいけ町林田区
お父ちゃんはな
しんよう小学校
２８才で結婚
にのみや小学校では小学２年を 教えたよ
２、３日で生徒の名前は 全部おぼえたよ
水木小学校 池田小学校
昭和１０年結婚したよ
洋子ねえちゃんが生まれたんは
昭和１６年
うまれて１００日を待たずして 死んでしもうた
おしゅうておしゅうてなあ（てのひらを両方広げて）
これにちょこんとのるぐらいの骨やった
これが悲しいてなあ
すぐ戦争が始まったでなあ
このこをつれて逃げ回らなあかんかったやろで
これでよかったんかなあと おもて
おじいちゃんが 洋子のこと
「かわいいいとちゃんじゃなあ」ゆうてなあ
おばあちゃんはなあ はじめての女の子じゃゆうて
すぐ女の子のがらのきものをぬうてなあ
うぶかぜやった
肺炎をおこしてしもてなあ
酸素室に入ってなあ
死ぬ前に 可愛い目で 私を見た
お父ちゃんは このはなしになるとなあ
もうやめてくれと てをふる
つぎにできた勲が 洋子にそっくりやった
ぱっちりした目をしてなあ
ほんまにうまれかわりやと思うた
＊
私の姉に当る洋子ねえちゃんのことを 母はこう話しました
８月になると広島や長崎の原爆のことが テレビで放映されます。
日本中がどこかしこで
いのちをおとした 戦争
母は娘が ひとり いのちをおとすことが こんなにも悲しい事だったと
しゃべっています
《 2019.08.09 Fri _ エッセー 》