上向かって左
フイルム写真の頃のできごとです
本や物たちの間を 窓辺に向かって 突き進んで行きますと
やっとキリンの本箱と黄色い本を見つけます
草間彌生さんじゃないですが この景色は手前に
長い長い通り道があるのです
ずっと前に私は こうして わたしは歩いているうちに
ちりになる
そういうようなことを言いましたよね
これも ちりとなって消滅する
「わたしたちは水玉模様で自己の存在を忘れなければなりません」
草間さん そうなんですか
私はちりとなって 忘れてるかなあ かるくなって ゆるく物にぶつかって
ふわりととぶ はい着地 忘れてないなあ
まん中向かって右
ねこは鈴をつけられ いぬは服を着せられ
かがみだってだから着せられています
背景の本はじつはノート
もう何冊も買った どこだっけ? インドとか東南アジアのものが
やすくて 好きだったな 今では 気安く迎入れてくれるノート
ひょうしもノートの紙も ざつなつくり
ぺんさきはつまずくし にじむし
だから このノートは 絵や文字でいっぱいになったよ
下向かって左
ねこのはるき 猫らしくない名前かな
もういませんよー
私はね 猫の歩き方で 物で一杯のアトリエのすきまを そっと歩きました
そのうえ 机に音もなく跳び乗る
しっぽのなかにお尻と手足をきれいにセットして 品よく座る
熟睡はいつまでもやらない
階段で足を踏み外さない
この3つは私はできません 4つです