who am ?I

PAGE TOP

  • 05
  • 12

こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

36

 私は鞄を買った。むろん和製の下等な品にすぎなかったが、それでも金具やなどがぴかぴかしているので、田舎者をおどかすには十分であった。この鞄を買うということは、私の母の注文であった。卒業したら新しい鞄を買って、そのなかにいっさいの土産物を入れて帰るようにと、わざわざ手紙の中に書いてあった。私はその文句を読んだ時に笑い出した。私には母の料簡が(りょうけん)わからないというよりも、その言葉が一種の滑稽として訴えたのである。
 私は暇乞いをする時先生夫婦に述べたとおり、それから三日目の汽車で東京を立って国へ帰った。


ここにいたって 小説というものは ふくらみのところで おわりまでもっていくもんなんだなあと 思ったことです
それは 笑いがあり 田舎者の特徴があり そこの文の中で その小説を味わうものなんだと そしてしっかりと筋は つぎにやってくるのです
《 2019.05.12 Sun  _  読書の時間 》