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ゆらゆらの効用

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「あなたはきのう こうおっしゃいましたが 今でもその考えに変わりはございませんか」
ー「いえ その保証はございません」
「それじゃあ 確かな考えを 言ってくださいませんか」
ー「ゆらゆら」
「それでは糸の切れた風船のように ふわふわ 飛んでいるの」
ー「そういうわけじゃ ほらね そこから 糸は出ているでしょう」
「ほんとだ」

ー「今日は かってから ずいぶん昔から考えていた あれをつくりました」
「なんです これはなんだろう」
ー「ふふふ ショーウインドーですよ」
「ショーウインドー レンズなしの眼鏡のようですね」
ー「そうなんです 町中で見たショーウィンドーをつくるとなると まずそれに合わせた家が必要でしょう」
「あなた大工さんを連れてこなきゃ ショーウインドーのために引っ越しもしなければなりません」
ー「そうなりますよね その内装が また 一知恵絞らなくちゃ」
「あなたのモットーは かんたんいずべすと なんですよね」
ー「ええまあ」
「ゆらゆらゆれる 空間をゆれる あなたには 無責任なことができる 天才なんだから」
ー「うれしいです ここに ダンボールをつないで ええっと 根無し草にならないように直角足もだんぼーるでつくって」
「内装は 絵やらなんかやら アトリエから調達!」
ー「なるほど 考えはゆらゆらしてていいんですね」
「時と場合によりますが 長年の夢が ダンボールで実現するなんてね」
ー「ショーウインドつきのアトリエを望む諸君 こどもからじいちゃんばあちゃんまで」
「そこはですねえ ほっとかんかい」
ー「そうでした」
「あきたら おりたたんで 今度その気になるまで ふろしきにつつんで」
ー「おことばですが こんどはさらに」
「進化してると言いたい訳ね」
 
《 2019.05.11 Sat  _  ぷれいんぐルーム 》