NEKO美術館 成瀬憲子

「もち」という木の看板がでているところに　私はお米を買いに行くんです

そこのかわらない　景色が好きです

白い老犬がいて　年をとると　眼が見えなくなったり　耳が聞こえなくなったりするんですね　うちのねこもそうでしたから　動物は長生きをすると　こうなるのかなあと

せつなくなりますね　人間だって　年をとると　いろんなところが　よわってきますね

さて　その日は　このお米を運ぶ車が　四輪車ですね　

これが　なんてかわいい　正直そうな車だろうと　撮りましたよ

これの持ち主さんは　まあそうですか　おもしろいことをおっしゃいますね

と笑っていました

ここには　年老いた猫もいたんです　お米を運んで来てもらう間　その猫は

ねこぐらに　はいったり　外を歩いたりしていました

いつのまにかいなくなって　それでも　同じような景色

そうだ　その前は　待合室に　ここのおじいさんが　しっかりした顔をして

いすにこしかけていましたよ　客が来れば　話し相手をして

いつの間にか見かけなくなりましたよ

ときどき　待合室の前に　おさらやおもちゃが　おいてあるんです