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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

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 先生の談話は、この犬と子供のために、結末まで進行することができなくなったので、私は遂にその要領を得ないでしまった。先生の気にする財産うんぬんの懸念はその時の私にはまったくなかった。私の性質として、また私の境遇からいって、その時の私には、そんな利害の念に頭を悩ます余地がなかったのである。考えるとこれは私がまだ世間にでないためでもあり、またじっさいその場に臨まないためでもあったろうが、とにかく若い私にはなぜか金の問題が遠くの方に見えた。
 先生の話のうちでただ一つ底まで聞きたかったのは、人間がいざというまぎわに、だれでも悪人になるという言葉の意味であった。たんなる言葉としては、これだけでも私にわからないことはなかった。しかし私はこの句についてもっと知りたかった。


先生の話のうちでただ一つ底まで聞きたかったのは、「人間がいざというまぎわに、だれでも悪人になるという言葉の意味であった」
このことを 犬と子供の出現で ちょっとわれわれに 待たせている
お客さん そうでしょう?

《 2019.04.01 Mon  _  読書の時間 》