NEKO美術館 成瀬憲子

ハンコにはまった時

何回か　NEKO美術館で　登場しましたよね

はまっているときというのは　おかしなもので　それに目がいき　集めるのに熱中し　みずからもハンコをほり　ぺたぺたそのハンコをおし

世界は　ハンコ

そんなかんじになります

でも　いつか熱はさめるもので　ハンコの何がこんなにおもしろかったんやろ

そう思うのです　しかし　こうして写しておきますと

それを見ると　ぴくんと　なにかが私を動かすのですね

熱中の　のこりが　私のどこかにあるんでしょうか

私は　こどものころも　熱中した事が　けっこうあります

だからといって　自分がそういうたちだというのは　あったってそうで

そうじゃないかもしれません　だって　こどもというのは　がいしてそういうところがあるでしょう　となると　わたしは大人になるのを忘れているのかしら　そうでしょうか

いや　大人になるのを忘れている人も　けっこういるもんですよ

またまた　ああでもないこうでもあるが　はじまりました

でね　ここから空想商売がはじまるのです　ほんと　もうひとり私の分身がいたら

いっしょに　ハンコ売りの旅に出ますね

大きなボストンバッグをかつぐのは　もう一人の私

広げる場所を見つけるのは私

いらっしゃーいいらっしゃーいは二人でハモったほうがいいですね

そうだ　ハンコを　画用紙の小さいのにぽんとおしておいて　お客さんに

言葉を入れてもらう　えいごもロシア語も韓国語も日本語も　其の他いろいろ

でそれを持ち帰る　それじゃあ　ハンコ売りとはいえませんよね　　

分身ロボットと　商いを　これもいいですよね　しかしあれは電気でうごいているのかしら？　とちゅうで　よろよろとまられるとこまるなあ

あー　あつ　夏はあついなあ　一日よ　商売熱心だと

あー　さむ　冬はこごえそう　としよりにはきついんじゃない？

あー　雨だ　売り物がぬれてしまうなあ

ここらへんで　

しかしここまできたら　だいぶん　気分でましたねえ

春休み　お客さん　どーです　商売熱心　このことば　まずほらなきゃ

こどものみなさん　ゲームもいいですが　その後姿は　みせるとまずいですよ

忙しそうだから