「こころ」 夏目漱石 先生と私 つづき
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私の自由になったのは、八重桜の散った枝にいつしか青い葉が霞むように伸びはじめる初夏の季節であった。私は籠を抜け出した小鳥の心をもって、広い天地を一目に見渡しながら、自由に羽ばたきをした。私はすぐ先生の家へ行った。枳殻(からたち)の垣が黒ずんだ枝の上に、萌えるような芽を吹いていたり、柘榴の(ざくろ)枯れた幹から、つやつやしい茶褐色の葉が、柔らかそうに日光を映していたりするのが、道々私の目をひきつけた。私は生まれて始めてそんなものを見るような珍しさを覚えた。
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まったく少しずつの文章です
我々にも 自由になったと思える一瞬が あるんですけど ここではそういうことを こういうふうに表現していると思ったことです
私は知らず知らずの間に 文章表現の勉強をさせてもらってると 感じています
とてもまねはできませんけど なんかきれいな表現だなあと