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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき


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 その年の六月に卒業するはずの私は、ぜひともこの論文を成規どおり四月いっぱいに書き上げてしまわなければならなかった。二、三、四と指を折って余る時間を勘定してみた時、私は少し自分の度胸を疑った。ほかのものはよほどまえから材料を集めたり、ノートをためたりして、よそめにも忙しそうに見えるのに、私だけはまだなんにも手をつけずにいた。私はただ年が改まったら大いにやろうという決心だけがあった。私はその決心でやりだした。私はその決心でやりだした。そうしてたちまち動けなくなった。今まで大きな問題を空に描いて、骨組みだけはほぼ出来上がっているくらいに考えていた私は、頭をおさえて悩み始めた。私はそれから論文の問題を小さくした。そうして練り上げた思想を系統的にまとめる手数を省くために、ただ書物の中にある材料を並べて、それに相当な結論をちょっとつけ加えることにした。


いやあ この人 大きくあまく考えていたんですね 論文の事
これじゃあ あせりますよね
わかるだけに 私も頭を抱えてみました
しかし 次にかんがえをめぐらすのですね
「私はそれから論文の問題を小さくした」たしかに
「そうして練り上げた思想を系統的にまとめる手数を省くために、ただ書物の中にある材料を並べて、それに相当な結論をちょっとつけ加えることにした」なるほど

こんなところに 夏目漱石のクスッと笑わせる所が出てきました

「私は少し自分の度胸を疑った」こんなこと思ってみたいなあ
《 2019.03.11 Mon  _  読書の時間 》