NEKO美術館 成瀬憲子

向かって左上

そうそう　自家製テレビというのがありましてね　しっかり映っていなくて残念だけど

この木のテレビを　たとえば　歩いているおばさんの顔をとらえると　当然いぶかしがられますよね。　じゃあ　これで電動テレビを見ますと　テレビのつまみぐいになるかな。空なんかどー？

羊雲を見上げると　向田邦子のドラマを思い出します（最近またやってるんですよ）

この自家製テレビで　あの世の久世光彦さんだとか向田邦子さんになんて言おうかな。

空を見あげながら　

小さな子供相手にインタビューなぞしてみますと　案外のってくれるかも　でも　ぎゃくにテレビをとりあげて　きゃあきゃあ逃げるかな

そうだ　お客さん　おじいちゃんやおばあちゃんに　長い思い出話を聞くのは　これは

まさに人のためになる仕事かも。

そんなにいうなら　自分でやれって？　それができるなら　こんな想像はしませんよ。

咳は出るし緊張はするし

真ん中右

これは　秋の庭かなあ

３０年前　大阪から信州に来た時　この田んぼの見える　自然に種から育ったちいさな

りんごに似たものに　「これは何だろう」と驚いたものです。

そのうち　雑草をはじめ　クルミの気　ドングリの木　それらが　そうだ柿もある

なんか　「すくすくと育つ」ってこういうことをいうんですかねえ　もう一時期はジャングルのようになって　暑い夏でも　木陰で涼しかったり　冬は陽あたりが悪くなったりと

なりました。そのうち　虫がついたり（クルミの木には特につくのですよ）「あーあやんなちゃった」というふうになって　散髪をしたくなるのでした。木の散髪。

雑草も美しくすくすくと育ったのですが　これは冬の間は黙ってるんですよ。雪なんか降れば　白くべーるをかぶって　さらに黙ってるんです　しーんとね

ところが　３月になると　黙っちゃいないんです

水仙　ちゅーりっぷ　ヒヤシンス　もも　れんぎょう　なんにもしないのに

おどりだすんです　雑草もやはり

このぐらいにしておきましょうか

左下

たたんで　バッグだと思う　　シャツ

それがね　やろうとおもえば　一枚のシャツは　バッグになるんです

できれば　ピンだけで　気になるのは　このシャツにおうのよ

＊

私のファイルの中に「From free hills」っていうのがあるんです。

いつも大袈裟なヤッチャと夫などに言われる私ですが

そのついでに　言いますと　私は「自由という物」に　あこがれたり　こだわったり

してきたんです。

私はけっして勇気のある人なんかではありませんので　「自由をよこせ！」などと

叫んだりはいたしません。だからファイルの中に大袈裟にこっそり　書いてきたんです

たとえば　「自由というもの」

こんなに自由なはずなのに

どこかさえない

花粉で目が赤くなって　ちょっと見えにくいといっては　さえない

たったそれだけよ　たったそれだけのことでよ

これは自由が光ってないと　いけないと思い込んでるせいかも知れない

それに自由っていうなまえのものが　ころがっていて　いっぱいで

新鮮さをなくしているせいかもしれない

で　不自由って　どんなもの？はっきりつかめてる？

もしかして　こんなことばが　そもそも　あるから　ひっかかるのよ

さてと　また捜しに行かなきゃ　

なにを？

自由