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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

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 私は先生に手紙を書いて恩借の礼を述べた。正月上京する時に持参するからそれまで待ってくれるようにと断わった。そうして父の病状の思ったほど険悪でないこと、この分なら
当分安心なこと、眩暈も吐き気も皆無なことなどを書き連ねた。最後に先生の風邪(ふうじゃ)についても一言の見舞いをつけ加えた。私は先生の風邪をじっさい軽く見ていたので。
 私はその手紙を出す時にけっして先生の返事を予期していなかった。出したあとで父や母と先生の噂などをしながら、はるかに先生の書斎を想像した。
 「こんど東京へ行くときには椎茸でも持って行っておあげ」
 「ええ、しかし先生が干した椎茸なぞを食うかしら」
 「うまくはないが、べつにきらいな人もないだろう」
 私には椎茸と先生を結びつけて考えるのが変であった。


風邪をふうじゃとよむ
眩暈と吐き気が気になる症状で そうでなければ心配することはないと先生は
この人に言っていましたね
考えてみれば この小説は 私という人物が周りの先生や奥さんのことを言っているわけなんですよね。ところがこの小説を読んでいる読者の私は 主人公は先生だと思っている。
だから いつもこの人と名前がないので やりにくいなあと。
もしかして 名前が前に出て来たかも知れないのにとか思ったり。
なんでそうなるの? 
この小説は 一人の男の目から うつしだされる話なのだと
気づく私なのです。 
《 2019.02.24 Sun  _  読書の時間 》