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納品書のウラ書き

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このあいだ 「男の背中、女のお尻」という佐藤愛子の古本を注文したんです。
それはたった1円の本なんです。いくら古本だからって 安いにも程がありますよね。
私はこのネットの世界にうとい人なので 「物という物は いったい どこに
重心があるんだろう」と 考えていました。
そんなことを考えながら そこに入っている 納品書を見て 1册1円におどろき
(1円だから買ったくせにね)こんどは裏にも何かビッシリ印刷してあることに気付くのでした。それが これなんですよ。

納品書のウラ書き 発行VALUE BOOKS  長野県上田市秋和537 0120−826−293
 納品書のウラ書と題しまして、本を紹介していくコラムを始めました。次に手にとる本になるきっかけになることを願って、ここ、上田から言葉をお届けしています。

せち辛い世の中だと思っていたのに こんなことってあるのかしら。
こんな文章でした。

***

古典がこんなにも新鮮だなんて。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」
この一文を覚えている方も多いのでは。無常感を描いた日本を代表する随想、『方丈記』。そんな古典に、詩人の蜂飼耳(なんて読むのかしら?)が新しい命を吹き込んでくれました。職をめぐる人事の権力争いに破れた鴨長明は、京都の郊外に一丈四方(方丈)
の庵を結びます。世俗を離れ、山奥で仙人たる境地へ...と想像したくなりますが、そうは簡単にいきません。俗世間を生きる民衆を気の毒に思いつつ、都を訪れると「自分は落ちぶれてしまった」と恥じる。執着を捨てよと仏教は説くのに、住居である草庵を愛し始めていることに迷いを覚える。鴨長明は仙人でも超人でもなく、こちら側の人でした。
それに気づいた途端、僕は彼の言葉にすっと耳を傾けることができました。かって教科書で接したそれとは異なる、真実味を持った味わい。それには、光文社版の本作『方丈記』
の丁寧な構成も寄与しています。蜂飼耳による解説と、それと別に彼女のエッセイを用意し、やわらかな「現代語訳」と「原文」の間の章に挿入する心配りによって、800年以上前の古典を違和感なく、より深く堪能することができる。文庫にして約150ページというコンパクトな紙束ですが、人間・鴨長明の魅力が豊潤に詰まった一冊です。

『方丈記』(光文社古典新訳文庫) 鴨長明(著)蜂飼 耳(訳)
出版社:光文社(2018/9/7)


「ゆく河の流れはたえずして、しかももとの水にあらず。」

私はこの言葉がいいなあと思うんですが さて言ってみようとすると 言えないという
悲しいですねえ。それでも 方丈記は読んだこともあり こういう生き方にあこがれてもいるのです。 そのくせ 私は物をため込み いかんわけですが それでも死ぬ時は
立派な墓はよそうと そう思っています。
この「納品書のウラ書き」で なにがよかったかって この文章自体がよかったのです。
方丈記はもう一度読むことはないでしょう。
ほかにもこのようなウラ書きが出ないかなあと 思っています。
1円の本は私のこれからを楽しく豊かにさせてくれる 値うち物かもしれません。実際
読んでみると げんきがでます。うらにはうらがあるんでしょうか。でもこのままで。
私は ホームページNEKO美術館をはじめるとき 「ねえ 1円で 自分の読み物を提供するとしたら日本と世界とで 私は充分お金もうけすることになるわね」と考えたことがあります。
「その1円は 自分の文才にしたら 安すぎるかなあ どう思う?」そんなこともね。
で 結局 私はそうすることをやめました。
そのことを このウラ書きで思い出しました。
私は やはり NEKO美術館で1円以上の楽しみを得ています。何人の方が読んでくださっているのか 知りません。 
世界中で 日本で ひそかに読者は増えていると
想像するのがいいですね。

この方丈記の表紙の絵もいいですね


  
《 2019.02.23 Sat  _  これくしょん 》