who am ?I

PAGE TOP

  • 02
  • 19

こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

21

 冬休みが来るにはまだ少し間があった。私は学期の終りまで待っていてもさしつかえあるまいと思って一日二日そのままにしておいた。するとその一日二日のあいだに、父の寝ている様子だの、母の心配している顔だのが時々目に浮かんだ。その度に一種の心苦しさをなめた私は、とうとう帰る決心をした。国から旅費を送らせる手数と(てかず)時間を省くため、暇乞いかたがた先生の所へ行って、いるだけの金を一時立て替えてもらうことにした。
 先生は少し風邪の気味で、座敷に出るのが億劫だといって、私をその書斎に通した。書斎のガラス戸から冬に入(い)ってまれに見るようななつかしいやわらかな日光が机掛けの上にさしていた。先生は日あたりのいい部屋の中へ大きな火鉢を置いて、五徳の(火鉢の中に据えるもの)上にかけた金盥(かなだらい)から立ち上がる湯気で、呼吸(いき)の苦しくなるのを防いでいた。
 「大柄はいいが、ちょっとした風邪などはかえっていやなものですね」と言った先生は、苦笑しながら私の顔を見た。


風邪をひく 今ならだれでもあることで それが 大変なことになるとは あまり思いません。いつもふしぎだったのは 江戸時代 お殿様の小さな子供が 亡くなるシーンを見ていてこんないいところの子供があっけなくなくなるなんて どうしてだろうと 思ったものです。ここの先生にしても 火鉢と加湿のための火鉢にのった金盥のお湯 薬はどんなものだったんでしょう
現代医学は進歩しているんだと 思うときです
《 2019.02.19 Tue  _  読書の時間 》