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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

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 先生はむしろ機嫌が良かった。しかし奥さんの調子はさらによかった。今しがた奥さんの美しい目のうちにたまった涙の光と、それから黒い眉毛の根に寄せられた八の字を記憶していた私は、その変化を異常なものとして注意深くながめた。もしそれが偽りでなかったならば、(じっさいそれは偽りとは思えなかったが)、今までの奥さんの訴えは感傷を(センチメント)をもてあそぶために特に私を相手にこしらえた、いたずらな女性の遊戯ととれないこともなかった。もっともその時の私には奥さんはそれほど批評的に見る気は起こらなかった。私は奥さんの態度の急に輝いてきたのを見て、むしろ安心した。これならばそう心配する必要はなかったんだと考え直した。
 先生は笑いながら「どうもご苦労さま、泥棒は来ませんでしたか」と私に聞いた。それから「来ないんではりあいが抜けやしませんか」と言った。
 帰る時、奥さんは「どうもお気の毒さま」と会釈した。その調子は忙しいところを暇ををつぶ気の毒だというよりも、せっかく来たのに泥棒がはいらなくて気の毒だという冗談のように聞こえた。奥さんはそう言いながら、さっき出した西洋菓子の残りを、紙に包んで私の手に持たせた。私はそれを袂へ入れて、人通りの少ない夜寒(よさむ)の小路(こうじ)を曲折してにぎやかな町の方へ急いだ。


先生が帰って来た時に見せる奥さんの態度 急に輝いて来たんですね
なんでやろと言えば わかってないなあ君は と言われそうですし
つづきを 待ってみましょう
これね いろんな人に 感想 聞いてみると 面白いかもです
最後にいけば わかることではあるんでしょうけど 想像力
いろいろあるんじゃないかな 学生だとか 60過ぎの人だとか
きょうは寒いです 昨日も寒かったです 冬はこんなに寒いもんでしたっけ
《 2019.02.14 Thu  _  読書の時間 》