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思い出話

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おじいちゃんの思い出話 つづき

せけんいっぱんのことというのは 案外 はずれていることもあると
そんな時に 私は思うのでした
おじいちゃんは それから 私たちの所に歩いて来たり 川えびとりに
孫や私をつれてってくれたり ずっと生き生きして来たのでした
長男のおよめさんが 旅行の話を持って来てくれると 喜んで出かけ
あるときは 奈良の長女のところまで 歩いて山越えをして行ったりたりして
驚かせてくれました
ごはんは市場で買って コタツの中であっためておく コーヒーでおちゃずけ
孫たちが 我が家でテレビを止められると 孫たちはおじいちゃんのところに
テレビを見に行くといった具合に
プラスがうまく回転しはじめたようでした
みんなが 気兼ねしながら 生活して行くより それはいいのでした
おじいちゃんはきっと 子供の所へはどこへ行っても大変と思い まあそう言う経験をしたからこそ そういう風に思ったのだと
文化住宅の一人暮らしは ええころあいのくらしだったのかもしれません

しかし そこで話はおわらないのです
その後私たちは大阪から長野県に行くといい これはすんでいるところがやがて高速道路とかになるというので そうなったんですが
おじいちゃんに 夫は(息子)「おじいちゃん長野県について来るか」と聞くと
「うん」と言ったのです
子供たちもだいぶ大きくなっていました うえは高校を卒業し 高校入試のこもおりました したは保育園
私は 気になっていることがありました
母が兵庫県にいて 一人暮らしをしているからです
前にも言いましたが 年寄りの面倒をちゃんとみれるほど 自分はできた人間じゃないのです 自信はありません でそのころ 「あっちが来るなら こっちも」という気持ちが働きました まその程度なんです 私は
母は 住み慣れたところを 出る気は ずっとありませんでした
さそっても 大阪も来ませんでした
ところが いろいろトイレをつけるとか 簡単な炊事場をつけるとか私が言ってるうちに
「うん」と言ったのでした
「うん」と言った二人
それから家ができるまで1年近く待ってもらったのですが おじいちゃんには「温泉にはいれる」で おばあちゃんには(ちょっと呼び方を同じにしますね)「トイレと炊事場」
といいつつ 温泉はそのうち「温泉が近くにある」にかわり 「トイレと炊事場はどうも
水回りの関係でむずかしいかも」となりました
おばあちゃんなんか どんだけ広い個室が待っていると思ったのか プラスチックの入れ物から 亡き父の洋服まで どんどん送ってくるのでした
「だんしゃり」という言葉がよく使われるこの頃ですが 私はおばあちゃんの荷物をだいぶ「だんしゃり」しました
あれですね 自分の持ち物もやがては「だんしゃり」するか されるかでしょうが

で8人家族(長男はいませんでした)おじいちゃんとおばあちゃんの終の住処になったのです おじいちゃんは あの文化住宅の一人暮らしを手放したことを くやんだでしょうね 温泉におじいちゃんは長いことはいっていましたね その間私たち夫婦は ギャラリー喫茶にお茶飲みに行ったり たえず2人をおいて 出かけていましたね
おばあちゃんはあの兵庫県の田舎で畑仕事や テレビやのんびり一人暮らしをしたかったでしょうね
おじいちゃんもおばあちゃんも おもわず「うん」と言ってしまったんでしょうか

「ころあい」はごらんのようにむずかしいものですが ころあいのことといえば
おばあちゃんは 病気で入院すると けっこう楽しそうになるのでした
どうしてかというと 4人一部屋ですか 朝から晩までいっしょにいる患者さんは
ちょっとした友だちです 簡易トイレもつきます 娘の私はおばあちゃんの買い物を
言われた通りにし 家計簿メモをつけているおばあちゃんのよこで 冗談をいいながら
笑っていたりするのです ちょっとしたいい距離なのです 家でいっしょにいる時よりもね でもそういうときも おしまいになる時もおとずれます それでもそういう時があるのがいいのですよね
看護婦さんは「おはようございます」とか「いかがですか」とか明るい声と笑顔で患者さんに声がけをしてくれます もう「いいころあい」なんです
おじいちゃんは デイサービスにヘルパーさんに手を添えてもらいながら そんなときはうれしそうでしたよ
うちにくるお客さんともよろこんで話をしてましたね
若かりしころの写真のアルバムを小脇に抱えて 
「これ だれやと思います」とおじいちゃんがお客さんに聞いて「ワーハンサム!」なんてことい言われると もう
むかしばなしも うまかったなあ まるでその場に居合わせたようで そんなときは
同じ話でも聴き入ったものです

おばあちゃんは そうはいきませんでしたね
きっとわたしも こんなふうになるんだと思います

こうしておじいちゃんやおばあちゃんの思い出をたどってみますと 
「いいころあい」だとか「話し好き」だとか参考になりますね 
私たち老人は 自分の「いいころあい」だとか「好きなこと」だとか
持っているようにすると なんとかしのげそうですよね
「入院」だってあるかもしれません
一人もいいけれども 頭や体がそうはさせてくれないこともあるかもしれませんね
それでも おじいちゃんの文化住宅の一人暮らしはいい選択でしたね
おばあちゃんが 長い間 兵庫の田舎で がんこに一人暮らしをしようとしたのも
よかった

いま こうして私がパタパタ打っているのも いいことにしましょう



《 2019.02.08 Fri  _  思い出 》